映画

2024.05.21 18:30

スカーレット・ヨハンソン、ChatGPT新音声に怒り表明 「法律顧問を雇うほかなかった」

スカーレット・ヨハンソン(Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images)

女優のスカーレット・ヨハンソンが20日、米OpenAIが開発したChatGPTの最新版AI(人工知能)モデル「GPT-4o」に搭載された音声が自分の声と「不気味なほど」似ていたことに「ショックを受け、怒りを覚えた」とする声明を発表した。OpenAIは、ヨハンソンの代理人が同社のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)に接触した後で、この音声「Sky(スカイ)」の提供を中止したという。

米公共ラジオ(NPR)が最初に公開し、メディア各社が報じたヨハンソンの声明によると、アルトマンから昨年、GPT-4oの音声にヨハンソンを声優として採用したいと打診があった。だが、ヨハンソンは「熟考の末、個人的な理由」でオファーを断ったという。

ChatGPT-4oでは、ユーザーがAIアシスタントの声を選択して音声対話ができる。ヨハンソンは、アルトマンが自分の声に「不気味なほど似ている」音声をAIモデルに搭載したことに「衝撃を受け、怒りと不信感を覚えた」と表明。「私は法律顧問を雇うほかなかった」と述べている。

ヨハンソンの法律顧問はアルトマンに2通の書簡を送り、Skyの音声をどのように作成したのか詳しく説明するようOpenAIに求めた。その結果、OpenAIは問題の音声の提供中止に「しぶしぶ同意した」という。

ヨハンソンはまた、アルトマンが先週「her」という単語をXに投稿した件についても問題視し、ヨハンソンが架空のAI型OS「サマンサ」を演じた映画『her/世界でひとつの彼女』への言及だとの見解を示した。

OpenAIは20日、Skyの音声の提供を一時停止する方針をXへの投稿で表明。合わせて発表した声明で、Skyの音声はヨハンソンの声をまねたものではなく、別の女優の声だとした上で、「プライバシー保護のため」声優の名前は公開しないと主張した。

フォーブスはOpenAIにコメントを求めたが、回答は得られていない。

OpenAIは「GPT-4o」に搭載された音声について、「業界をリードする配役と演出の専門家」が何百件もの応募の中から絞り込んで制作したと説明している

AIの進歩に伴い、AIと俳優やアーティストの関係にはさまざまな軋轢が生じている。映画やテレビなどメディア業界に携わる約16万人が加盟する全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)は、俳優のデジタル複製の使用許可を義務づける法律の制定を推進しており、米娯楽誌バラエティによると、オーディオブック、ビデオゲーム、製品の宣伝、音楽演奏への適用をめざしている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事