音楽

2024.05.26 11:00

ヒップホップ界で大注目の実業家は1億ドルの資産をいかに築いたのか

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Forbes JAPAN 2024年7月号の特集は、「『本当の富』を見つけた人たち」。10億ドル以上の資産をもつ「ビリオネアランキング」には2024年、過去最高の2781人が入った。現代のビリオネアは、かつてのような相続人よりも、1代でビジネスを「クリエイト(創造)」する起業家たちの割合が増えている。こうした「0→1(ゼロイチ)」を実現し、その成功をもとに新たなゼロイチを繰り返すことで富の循環を大きく広げていく。こうした「クリエイター」たちが、ビリオネアになる過程で得た人生哲学と「本当の富」に迫る。

米国有数の音楽レーベルを経営するラッパーのヨー・ガッティは、サッカークラブやレストランを所有し、その総資産額は1億ドルに上る。メンターであるビリオネアでラッパーのジェイ・Zの教えを実行する彼が、ビジネスを発展させるために得た「教訓」とは。 


メンフィスを拠点とするレーベル、コレクティブ・ミュージック・グループ(CMG)の創設者兼最高経営責任者(CEO)ヨー・ガッティ(42)は、カリフォルニア州マリブ北郊のウェストレイク・ヴィレッジにある約930平方メートルのトスカーナ様式の豪邸でひと息着こうとしていた。

「必死に頑張れば、結果はついてくるんだ」

ガッティは全力で音楽に取り組んできた。1990年代後半にメンフィスのラップシーンで頭角を現し、2016年のアルバム『The Art of Hustle』でブレイク、ビルボード200のアルバムチャートで4位にランクインした。フィーチャーしたシングル「Down in the DM」は、スポーツベッティングサイト「FanDuel」の広告ソングとして流れている。

ガッティは12年に、自身のミュージックレーベルであるCMGを設立。ブラック・ヤングスタやマネーバッグ・ヨといったテネシー拠点のヒップホップアーティストを中心にフィーチャーした。

音楽ビジネスの道は容易ではなかった。必死に努力して成功をつかんだ自分をねぎらうため、ガッティは数々のモノを手に入れた。彼の見事な時計コレクションはそのひとつだ。パテック フィリップ、ロレックス、ヴァシュロン・コンスタンタンなど彼のコレクションの価値は1000万ドル相当になるという。ほかにも、装甲式ハマートラック、23年式ライムグリーン色のロールス・ロイス、カリナン、テスラ・モデルSなどの最高級車を保有する。テスラは、彼のガールフレンドで、Run-DMCのメンバーでラップ界のレジェンド、ジョゼフ・“レブ・ラン”・シモンズの娘、アンジェラ・シモンズからの贈り物だ。
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文=ジャバリ・ヤング 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=中沢弘子 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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