学術誌Personal Relationshipsに発表された最新の研究結果によれば、道徳的離脱の傾向が強い人ほど、恋愛関係において自分自身とパートナーが許容できる限界を超えた「自己定義に基づいた」不貞行為をより多くしていることがわかった。
研究チームはまた、道徳的離脱の傾向が強いほど、パートナーが浮気に気づいているかどうかに関わらず、2人の関係に対する満足度が両者とも低いことも発見した。
道徳的離脱には、内面的な道徳基準と行動を切り離す8つの認知メカニズムが含まれており、これによって通常であれば非難されるとわかりきっているはずの行動をとれてしまう。
「道徳的離脱の傾向が強い人は、パートナーに対する裏切りを拒否しているというよりも、むしろ自分の内なる道徳的コンパスに従わないことを選択している」と研究者は説明している。
不倫を可能にする8つの道徳的離脱の認知メカニズムは以下の通りだ。
1. 道徳的正当化。有害または非倫理的な行為を、高尚な目的や道徳的な目的のためと位置づける。たとえば、不倫が自分に幸福や充実感をもたらし、それによって自分がより良いパートナーとなり、周囲にとっても良い影響を与えると信じることで不倫を正当化する。
2. 婉曲的ラベリング。非倫理的な行動を婉曲的な言葉で表現することで、より無害で受け入れやすい行為に見せる。たとえば、不倫を「無害な遊び」と呼び、浮気や裏切りと認めることを避ける。
3. 自分勝手な比較。自分の非倫理的な行動をより「重大な」行動と比較することで、前者を些細で許容できる行為に見せる。たとえば、「少なくとも他の人のようにパートナーを虐待してはいないよ。それに比べれば何でもない、ちょっとした浮気さ」というような歪んだ正当化だ。
4. 責任の転嫁。自分の行動を外部の圧力や影響に帰することで個人的な責任を回避する。たとえば、「友だちが遊びに行け、楽しめってずっと言ってきたせいさ!もしあいつらがいなかったら、僕はやっていなかったよ」といった言い訳をする。