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2024.05.21 12:30

「アーティストのためのAI」を押し出すグーグルの取り組み

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グーグルは、米国時間5月14日に開催した開発者向けイベント、Google I/Oにおいて、高解像度でプロ並みの映像を作成するOpenAIのSoraに対抗する動画生成AIモデルのVeoや、機械学習を使って楽曲を作成し、ジャンルをマッシュアップする音楽生成AIのMusic AI Sandboxなど、複数の新たなAIサービスを発表した。

アーティストたちがクリエイティブ産業のAIの使用に反発する中、グーグルは俳優で映画監督のドナルド・グローヴァーとミュージシャンのワイクリフ・ジョンという2人のアーティストをイベントに登場させた。

イベントで公開されたプロモーションビデオの中で、グローヴァーは「誰もが監督になれるし、誰もがディレクターになるべきだ。AIの核心は、ストーリーテリングなのだ」と語った。彼は、カリフォルニア州オーハイにある農家で映画制作チームやグーグルの研究者たちと一緒にVeoを使って短編映画を制作した。

ビデオでは、チームがノートパソコンに「1960年代のオープンカーがスペインの地中海沿いにある宮殿に向かう追跡ショット」というプロンプトを入力し、生成された映像を確認していた。グローヴァーのチームがグーグルと共同制作したこの短編映画は、近日公開予定だという。

Music AI Sandboxを紹介するプロモーションビデオには、ジョンがギターを弾きながらサンプルを録音する様子が収録されていた。彼は、それをソフトウェアにアップロードし、ドロップダウンメニューを使ってハイチとブラジルのスタイルをミックスした。そして、「昔のヒップホップのアーティストたちは、サンプリングする音を求めてレコードの入った木箱を漁っていた」と語り、今ではそのプロセスはデジタル化されたと説明した。

グーグルが著名人をプロモーションに起用するのは目新しいことではない。同社が提供するスマートフォン、Google Pixelのスポークスパーソンは、NBA選手のヤニス・アデトクンボや俳優のシム・リウをはじめとするスターが務めており、歌手のジョン・レジェンドはスマートスピーカーのGoogle Homeのアシスタントサービスの声に起用されている。
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編集=上田裕資

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