しかし一方で、「健全なエゴ」を持たないリーダーは、チームの自信や信頼を育てるのに苦労する可能性がある。つまり、エゴとは、うまくバランスを取り、コントロールする必要があるものなのだ。エゴは、祝福にもなれば、呪いにもなる。
5月11日は「世界エゴ啓発デー(World Ego Awareness Day)」だったことから、この時期は、エゴが個人と組織の成功に与える影響について考えるには絶好の機会だ。そこで本稿では、リーダーが避けるべき、エゴに関する4つの大きな過ちを紹介しよう。
1. 自己中心的で、チームに不利益をもたらす
エゴに支配されたリーダーは、時として、自分が見たいものしか見ず、聞きたいことしか聞かない「バブル(閉じた狭い世界)」の中で仕事をする。そうなると、たちまち広い視野を失い、個人や組織が学びを得る機会を遠ざけてしまいかねない。加えて、チームメンバーの課題を認識・理解し、サポートすることができない。結果として、チームの不満が募り、生産性が低下し、ウェルビーイングが損なわれる可能性もある。
コンサルティング会社のWorkingWell(ワーキングウェル)創業者で、『Brave New Leader』の著者であるレズリー・クーパーは、「信頼と心理的安全性の文化を構築し、チームが効果的・持続的にパフォーマンスを発揮できるようにするためには、リーダーは自分のエゴを一旦脇に置く必要がある」と話す。「自分の行動や企業全体の文化が、誰かに悪影響を与えている場合には、進んで耳を傾ける姿勢を持つことだ」
リーダーが自分自身の目標にばかり目を向けており、組織全体の成功を軽んじていると、チームが「成長へ向けた共通のビジョン」を通して奮起することはない、とクーパーは確信している。「自分のエゴを脇に置いてこそ、信頼の文化を構築し、チームの生産性を高め、彼らのウェルビーイングを育むことができる」
2. 他の人の知恵を借りようとしない
リーダーという地位に到達したということは、あなたが自分のビジョンを実現するための道筋を立て、準備を進めてきた証拠だ。ところが、そのことでリーダーが自信過剰になるあまり、他の人から知恵を借りることに消極的になる危険がある。そう指摘するのは、起業家の事業拡大やイグジットを支援するコンサルタントで、『Cashing Out』の著者であるアレクシス・シコースキーだ。「リーダーにとって最大の罠の一つは、自分に助けは必要ないと考えることだ」とシコースキーは説明する。「リーダーがそう考える理由は、次の2つのうちどちらかだ。つまり、自分は常に何が最善かわかっていると思っているからか、あるいは、自分がコントロールを失っていたり、答えを持っていないと認めることを恐れているかのどちらかだ」