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2024.05.20 12:30

TikTok買収目指す70歳の大富豪、「ドジャースの元オーナー」が描く未来

Frank McCourt(Photo by Craig Barritt/Getty Images for Unfinished Live)

米国の不動産業界の大物でロサンゼルス・ドジャースの元オーナーとして知られるフランク・マッコートは米国時間5月15日、中国発の動画共有アプリTikTokの米国事業買収を目指すコンソーシアムを組む計画を明らかにした。

現在70歳のマッコートは、TikTokの親会社のバイトダンスやメタ、アルファベットのようなハイテク大手ではなく、「ユーザー自身がデータを所有する安全で健全なインターネット」を目指して戦うことを目的とする組織のProject Liberty(プロジェクト・リバティ)を通じて、TikTokの買収を組織しようとしている。彼は、自身が2021年に立ち上げたこのプロジェクトに5億ドル(約780億円)の拠出を誓約していた。

プロジェクト・リバティは、15日に入札の可能性を発表し、投資銀行のグッゲンハイム・セキュリティーズと法律事務所カークランド・アンド・エリスに加え、学者や技術者らと協力して取引を行う予定だと述べている。ブルームバーグによると、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を構想したティム・バーナーズ=リーもこの入札を支持しているという。

以前からテック大手、特に中国資本のTikTokを激しく批判してきたマッコートは、「私たちはこのモデルを壊すか、あるいはコントロールや所有権を個人に返すようなモデルに進化させなければなりません」と11月にフォーブスに語っていた。「中国のハイテクか、アメリカのハイテクか。それがあなたの選択なのです」

ロサンゼルス・ドジャースの元オーナーとして広く知られるマッコートは、2012年の球団売却で得た約8億5000万ドル(約1324億円)の資金を、自身の会社のマッコート・グローバルを通じて投資してきた。そして昨年1月に彼は、プロジェクト・リバティに専念するために同社のCEOを退いた。

今年初めてフォーブスのビリオネアリストにランクインしたマッコートの保有資産は推定14億ドル(約2182億円)で、バイトダンスの推定評価額の2200億ドル(約34兆円)には遠く及ばない。ニュースサイトのSemaforは、彼が今回の買収計画の一環として、外部の財団や基金、一般市民から資金を調達する予定だと報じている。

ドジャース売却で8.5億ドルを入手

マッコートの起業家としてのルーツは、1893年に曽祖父がボストンで建設業を営むマッコート・カンパニーを設立したことにさかのぼる。ジョージタウン大学に進んだ彼は、1975年に経済学の学位を取得した後、マサチューセッツ州に戻り、1980年代から不動産開発を行った。

マッコートは、2001年にボストン・レッドソックスを買収しようとしたが、競合の億万長者に競り負けた。その数年後の2004年、彼はロサンゼルス・ドジャースを3億7100万ドル(約578億円)で買収したが、彼のドジャースのオーナーとしての在任期間は、2011年にチームが連邦破産法第11章の適用を申請したことで幕を閉じた。その翌年、マッコートはドジャーズを当時のスポーツ界で史上最大の22億ドル(約3429億円)で売却し、税金や離婚訴訟費用を差し引いて約8億5000万ドル(約1324億円)の現金を手に入れていた。
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編集=上田裕資

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