欧州

2024.05.20 10:00

ウクライナ軍、東部チャシウヤールでもロ軍の進撃阻止 潤沢な砲弾で突撃部隊を撃滅

スウェーデン製のアーチャー自走榴弾砲。2024年1月、ウクライナで(Dmytro Larin / Shutterstock.com)

自由なウクライナの味方にとっての朗報は、ウクライナ側がこの競争に勝ったとみられることだ。チャシウヤールの守備隊はいまでは潤沢な弾薬を手にし、ロシア軍の突撃部隊に大きな損害を与え始めている。
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17日、装甲車両およそ20両に乗り込んだロシア軍の1個大隊が、ドネツク市からチャシウヤールに向かった。つい2、3週間前までなら、ロシア軍の突撃部隊は5kmほどのこのルートのほとんどの区間を、ウクライナ側からの攻撃にたいして悩まされずに移動できていただろう。

対戦車ミサイルや砲弾が極度に不足していたウクライナ軍は、これらのロシア軍部隊に対する攻撃をFPV(一人称視点)ドローンに頼らざるを得なくなった。しかし機体重量900gかそこらのFPVドローンは、せいぜい3kmかそこらの範囲しか飛べず、搭載する爆薬もわずか500gほどにとどまる。この程度の量では、ロシア軍の車両に何重にも後づけされている追加装甲を貫くことは難しい。

だが5月中旬の現在、ウクライナ側の弾薬は格段に充実している。ロシア軍の縦隊はこの日、チャシウヤールに向けて開けた土地を移動中、ウクライナ側から45kgの砲弾、23kgのミサイル、1kgのドローンをひっきりなしに浴びた。運河地区までどうにかたどり着いた少数のロシア兵も、長くはもたなかった。

ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは「ロシア軍はチャシウヤールに対する攻撃の最初の数週間は、運河に到達したり、さらには小部隊で運河を越えることもあったりと、矢継ぎ早に成果を収めたものの、結局、反対側(運河の西側)に足場を築き、さらに前進することはできなかった」と17日の戦況評価で説明している。

弾薬の到着で恩恵を受けているウクライナ軍部隊は、チャシウヤールの守備隊に限らない。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、「この戦争中で初めて、砲弾がないという不満がどの旅団からも出なかった」と述べている。

ゼレンスキーが砲弾の豊富さを誇張している可能性もなくはない。それでも、先週末にロシア軍がチャシウヤールに突撃してきたとき、浴びせる火力がウクライナ側にふんだんにあったことは明らかだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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