それによると、円安が自社の業績にどのような影響があるか問うたところ、売上高に「プラス影響」が16.0%、「マイナス影響」が35.0%、「影響なし」が49.0%と、半数が影響ないと回答している。一方、利益については「プラス影響」が7.7%、「マイナス影響」が63.9%、「影響なし」が28.5%とマイナス影響が一気に増えて6割強となっている。
企業からは、「輸入材料が多く、メーカーが価格を上げてきたら、それを受け入れるしかない」「輸入資材やエネルギーの高騰分を価格転嫁できておらず、収益が低下している」と、原材料などの価格上昇を商品・サービスへ価格転嫁できていないことを嘆いている。
また、「国内メーカーなど仕入先の価格調整(上昇)を受けて販売価格へ転嫁したところ、得意先の購買意欲が減退」など、物価高による購買意欲の喪失も影響を与えている。
一方で「主要荷主の自動車メーカーの生産が上向くので、円安のまま安定する方が有り難い」と回答する企業もあり、業種によって受け止め方は大きく違うようだ。
自社にとって適正な為替レートの水準はどのあたりか問うたところ、もっとも多かったのが120円以上~130円未満で28.9%、続いて110円以上~120円未満が21.2%と、110円以上~130円未満で50.1%と半数の企業が回答している。
円安は輸出企業にとってはおいしいものの、輸入依存度の高い企業にとっては、その分を商品価格へ転嫁することもなかなか厳しく、消費意欲も減退し企業の設備投資意欲も低迷してしまう。やはり適正な為替相場での安定が好循環につながるはずなので、企業努力だけに頼らず、政府も本腰を入れてほしいものだ。
出典:帝国データバンクが「円安が企業へ及ぼす影響」より