同レポートは、従業員数50人以上、年間売上高500万ドル(約7億8000万円)以上の企業のサブスク担当者318人を対象に行った調査に基づいている。
レポートではサブスク経済の楽観的な見通しが示されている。回答者の96%が今年サブスクの売上は大幅に伸びると予想。約4社に3社、73%が今年サブスク料金を値上げすることにしており、この割合は前年の62%から10%ポイント超上昇している。
Chargebeeのガイ・マリオン最高マーケティング責任者(CMO)は「ソフトウェアや消費者向けサービスで値上げの傾向が見られる。コスト重視の消費者はサブスクをやめるが、食事やコンテンツ、ソフトウェアに価値を置く消費者はやめることはない。業界は『是が非でも成長』から『効率的な成長 』へとシフトしている」と指摘した。
アマゾンの動画配信サービスのプライム・ビデオは今年以降、消費者が追加料金を払わない限り広告を表示するようになる。Netflix(ネットフリックス)は昨年、米国でのベーシックプランを月額9.99ドル(約1550円)から11.99ドル(約1870円)に値上げし、今年また上げる予定だ。Disney+(ディズニー・プラス)とHulu(フールー)も値上げした。
ネットフリックスの値上げをフォーブスが報じたことを受けて、X(旧ツイッター)のあるユーザーは「15年間サブスクを利用しているが、もう十分だ。ネットフリックスには料金に見合うものは何も残っておらず、オリジナルの作品は絶対に終わりを迎えないことが保証されているのだから、なぜわざわざ新番組を観るのか」と投稿した。
別のXユーザーは「ネットフリックスの料金をがんばって払っている人が多すぎる。やめるべきだ。もう十分だと言って、サブスクを解約する必要がある」と投稿した。
Chargebeeの調査に回答した担当者の約86%が、新規顧客の獲得よりも既存顧客の維持が重要だと考えている。
「ネットフリックスがサービスを開始し、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前から業界はサブスク会員数を重視してきた。ツールを購入し、人を雇い、そして顧客獲得のためにあらゆるコストをかけてきた。市場シェアの拡大を中心に据えていた」(マリオン)。
調査回答者の46%は業績改善に人工知能(AI)を活用しており、消費者体験を向上させるための市場分析や製品の改良に取り組んでいる。言い換えると、消費者は良い体験のために金を払うことになる。
企業は「悪い顧客」ではなく「良い顧客」にフォーカスするためにAIを活用しているとマリオンはいう。マリオンによると、「悪い顧客」とは決して利益につながらない顧客、つまり出荷された商品を返品する可能性のある顧客を指す。そうした顧客に関しては、企業は製品の出荷で使ったリソースが無駄になり、純損失となるのだという。
「悪い顧客はサブスクビジネスの足を引っ張る」とマリオンは指摘した。
概して多くの消費者は値上げに不満かもしれないが、サブスク企業は既存の顧客を満足させ、引き続き利用してもらえるよう、これまで以上に既存顧客に投資している。
(forbes.com 原文)