「僕はすべてのプレーに参加している」。絶賛の嵐にあって発した自分の言葉を、ランドルフは正確に覚えている。
ランドルフはチームメイトに自慢したのではない。文字どおりの意味でそう口にした。一塁手をバックアップすることは、まさにランドルフが自然にできるようになるまで繰り返し練習したことだった。だがランドルフはそのエキサイティングなプレーで学んだ教訓を伝えようともしていた。ランドルフは最近のインタビューで「あなたが何かをするとき、そのすべてを見ている人はいない。適切なときに適切な場所にいて初めて注目される」と語った。
難題とチャンスに備えることは、ランドルフの人生とリーダーシップにおける不変のテーマだ。ランドルフは10代の頃にナショナル・アウトドア・リーダーシップ・スクール(NOLS)に頻繁に参加するようになった。そこでは、不測の事態に備えた荷造りをしておかなければ、濡れた寝袋で寒い夜を過ごすことになり得ることを学んだ。辺ぴなところで厳しい夜を過ごすのはタフになるためではなく、責任を持ち、準備を怠らない人間になるためだ。
「基本的に、NOLSはリーダーシップを教えるために原野を教室として使うリーダーシップ養成学校だ」とランドルフは説明する。「体験をとおして養成する。外に出るたびに、実際に結果をともなう重要な決断をすることを学び、自分が下した決断と自身のリーダーシップの発揮の仕方が与える影響をほぼ即座に目にする」
ネットフリックスを共同で創業し、初代の最高経営責任者(CEO)に就任したとき、ランドルフは「常に備えあり」を重視するNOLS流のリーダーシップを行い、NOLSの指導者なら誰もが評価しそうな全社的な方針を確立した。その方針とは「最善の判断をする」ことだ。