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2024.06.25 11:00

ビューティーの力で成熟市場に風穴をあける──シック・ジャパンが描く成長戦略

2022年8月、シック・ジャパンの代表取締役社長に就任した後藤秀夫はビジネス改革の真っただなかにいる。ウェットシェービング市場をリードし続けるレガシー企業の改変に挑む、ひとりの経営者の覚悟と哲学に迫る。


100年以上前に米国で誕生し、世界中で利用されているシェービング用カミソリブランド「Schick」。1960年に参入した日本市場でも多くのファンを獲得。28年連続シェアNo.1※を記録するなど、ウェットシェービング市場をリードし続けてきた。外野からは至って順調に見えるが、代表取締役社⻑の後藤秀夫(以下、後藤)は、2022年の就任以前から抜本的な改革の必要性を感じていた。

美は人を変えるという実感とともに

「確かに市場ではトップシェアを獲得していますが、だからこそコンフォートゾーンを抜け出せず、挑戦しにくい状況に陥っていると感じていました。このままシェービング製品に依存するビジネスモデルでは成長が望めない。そこで具体的な施策を打つことにしました」

後藤はすぐに行動に移した。まずは「日本で最も革新的なビューティーグルーミングカンパニーを目指す」という新たなビジョンを策定。ビジョンにある“ビューティー”には、美容業界で長年実績を積んできた後藤の強い思いが反映されている。

「これまで、スキンケアやメイク、ヘアケアなどの事業に携わってきた経験から、強く実感しているのが『美は人を変える』ということ。シェービングと美には密接なつながりがあります。見た目の美しさを実現するシェービング、ひいてはビューティーグルーミングを通して、ひとりでも多くのお客様にワクワク感と幸せを感じてもらえる価値を提供することをシック・ジャパンのパーパスとしました」

パーパスとビジョンは言葉だけでは伝わらない

ビジョンを実現するため、後藤は具体的な3つの方針を定めた。1つ目は、シェービングの分野をさらに強化する“Strengthen Core”。2つ目が、業界初のスキンケア製品などの充実を図りビジネス領域を拡大させていく“Expand Core”。そして3つ目が、新技術を活用して市場を変革する“Game Changer”。これを軸に3年にわたる計画を打ち出した。

「今後は日本市場に合わせたカミソリやスキンケアの開発をさらに強化していきます。そのために専門的な知識をもつ人材を招集し、研究開発チームを新設。本社内に製品開発や製品テストなどが行えるBeauty Grooming Studio &Laboratoryを設置しました」

シェービングにおいて圧倒的なブランド力を誇るシックだが、シェービング前後のスキンケア製品にはそれほど注力してこなかった。この点は競合も同様で、なぜなら化粧品メーカーの存在があるからだ。後藤は、自社の知見を⽣かせばより優れたスキンケア製品を開発でき、シェービングに付随するトータルケアを実現できると確信。Expand Core戦略の具体例として、24年2月に女性の顔そり専用の肌をケアする業界初のオイルバームを発売した。

全世界50カ国以上でビジネスを展開するエッジウェル パーソナルケアグループの一員であるシック・ジャパンが日本独自の戦略を展開できるのは、グループ内での売り上げ規模ナンバー2という高いビジビリティを誇っているからだと後藤は胸を張る。だが一見すると、これらの改革はトップダウンの下に行われているようにも映る。しかしその裏には、後藤の地道な歩みがあった。

「ビジョンや方針、施策の大枠は事前に決めていましたが、何より社員と一緒になって改革をしていきたかった。そこで地方にも足を運び、全社員と1on1を行い、一人ひとりと向き合いました。ただ、私の思いや成長戦略をいくら言葉で伝えても、実感が伴わなければその本質までは理解してもらえない。ですから具体的なプランを目に見えるかたちで提示して実行することが重要だと考え、新製品の展開などスピード感をもって取り組んでいます」

本社オフィスのフルリノベーションは、その好例でもある。後藤は就任後すぐに予算の承認を得るため本国に出向き、オフィス空間が現場に与える影響や環境の重要性を訴えた。

「かつてはパーティションで区切られた空間がいくつもある閉鎖的なオフィスだったため、23年に日本の本社では初めてとなるフルリノベーションを実施しました。オフィスの雰囲気が変わると、そこで働く人も⾃ずと変化していきますし、社員の⼼を動かすには⼤きな変化が重要だと考えました」

洗練されたモダンなデザインのオフィスは“ビューティーグルーミングカンパニー”というビジョンを社員自身が体感する場となり、後藤が目指す世界観を社員に浸透させる役割も担っている。
開放的なオフィスへと進化。壁や柱などにパーパスやビジョンが記されている。

開放的なオフィスへと進化。壁や柱などにパーパスやビジョンが記されている。

オフィスに併設されたカフェスペースは社員同士のコミュニケーションの場。

オフィスに併設されたカフェスペースは社員同士のコミュニケーションの場。

社員の起業家精神を刺激し日本独自の製品開発に挑む

「戦略があっても実行するのは人」と語る後藤は、成果に結びつく正しい行動を社内に浸透させるため、24年度は「CultureTransformation」をテーマに起業家精神を根付かせる取り組みを⾏うという。

「エッジウェル パーソナルケアグループにおける企業文化である4つのバリューのうちのひとつに『Move forward』が掲げられています。これは失敗を恐れずにイノベーションを起こしていくという起業家精神に通じるものがあります。これから我々が業界初の商品を発売するなど新しいことに挑戦していくうえで、リスクを取って前に進んでいけるような社風を、特に強化していきたいと考えています」

後藤が改革のかじを切り、3カ年の計画を具現化していくなかで、社員自らアイデアを提案する場面も増えてきた。こうした動きは、後藤が一人ひとりと向き合ってきた証しと言えるだろう。加えて、今後はシェービング業界でのゲームチェンジャーを目指すという。

「我々は海外で開発された新しいテクノロジーを日本で展開できますが、それだけではなく、新設したラボでの製品開発が可能となったことで、日本人の消費者に合わせた日本独自の新製品に取り組める環境も整いました。今後は、シェービングメーカーがこれまで取り組んでこなかった分野にも、積極的に展開していきたいと考えています。今は多様性の時代。性別や年代を問わず、美を追求するあらゆる人々の思いに寄り添い、ワクワクできる製品で、お客様に貢献していける企業に成長していきたいと思っています」

長年にわたりウェットシェービング市場のトップシェアをキープしてきたシック・ジャパン。同社に強大な組織力があることは言うまでもない。「Schick」のブランド力と組織力に“起業家精神”が加わったとき、どのようなことが起こるのか。今後の展開に期待したい。


シック・ジャパン
https://schick.jp/


ごとう・ひでお◎シック・ジャパン 代表取締役社長。1996年ジョンソン・エンド・ジョンソンに入社後、2005年より日本ロレアルに参画。11年の在職中に日本と台湾において事業部長の要職を歴任。17年よりヘンケル ビューティーケアの日本兼韓国の代表として、コンシューマーおよびプロフェッショナルの両事業を統括。22年8月より現職。


※ インテージ SRI+カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)1995 年11月~2023年10月各年メーカー別累計販売金額

Promoted by シック・ジャパン│text by Motoki Honma│photographs by Daichi Saito│edited by Aya Ohtou(CRAING)