欧州

2024.05.17 15:00

EUがメタをDSA違反の疑いで調査、未成年のSNS依存を懸念

マルグレーテ・ベステアー上級副委員長(Thierry Monasse/Getty Images)

欧州委員会は5月16日(現地時間)、メタが運営するフェイスブックとインスタグラムが未成年者のユーザーの心身の健康を守るために十分な措置を講じておらず、デジタルサービス法(DSA)に違反している可能性があるとして、同社に対する正式な調査を開始したと発表した。

同委員会は、メタのアルゴリズムが子どもたちの依存症を引き起こし、ラビットホール効果と呼ばれる現象(『ふしぎの国のアリス』でアリスがウサギを追って穴に落ちていったように、何かに深入りしていくこと)を生み出すことを懸念している。また、各サイトの年齢認証についても調査する予定という。

「我々は、フェイスブックとインスタグラムが行動依存症を引き起こす可能性があることや、メタの年齢確認方法が適切でないことを懸念しており、詳細な調査を進めている」と欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は述べている。

欧州委員会は、メタのサービスが未成年者の心の弱さや未成熟さを突いて常習的な行動を引き起こし、子どもたちを有害なものの巣窟へと導く可能性があると考えている。また、未成年者による不適切なコンテンツへのアクセスを防止するための同社の年齢確認措置が、効果的でない可能性があるとしている。この申し立てが立証されれば、メタはDSAの規定に違反していることになる。

欧州委員会のティエリー・ブルトン委員は「われわれは若者を守るために全力を尽くす」と、自身のX(旧ツイッター)に投稿した。

これに対しメタは、「当社は、親のための監視ツールや、テイク・ア・ブレイク通知(一定の時間が経過したらサービスの利用をしばらく中止するよう呼びかける通知)など、子どもたちを守るための数多くの機能を備えている」と主張している。同社はまた、10代の若者への有害な可能性のあるコンテンツを非表示にし、インスタグラムでつながっていない人物からのDMをデフォルトでオフにする機能を提供している。

「私たちは、若者に安全で年齢に合ったオンライン体験をしてもらいたいと考え、彼らを保護するために設計された50以上のツールや機能の開発に10年を費やしてきました」と、メタの広報担当者は述べている。

今回の発表は、DSAに基づく一連の調査の中の最新のものだ。欧州委員会は先月、欺瞞的な広告や政治的コンテンツに関する方針と慣行をめぐるメタに対する調査を開始した。同委員会は、TikTokやX、アリババのAliExpressについても調査を行っている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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