同国政府が当初設定した観光客の目標は、2030年までに1億人。ところが、今年3月に、それを7年も前倒しして2023年に達成したことを発表。さらなる目標として、2030年までに1億5000万人と言う目標を打ち出した。
脱石油、ビジネス・観光のハブへ
サウジアラビアの国土面積はアラビア半島の7割を占め、日本の5.7倍の大きさを誇る。日本から直行便はなく、ドバイやカタールなどの経由便のみ。例えば日本からドバイまでが約11時間、ドバイから首都リヤドは約2時間のフライトとなっている。国土の多くは砂漠で、財政収入の約8割が石油によるもので、世界有数の産油国としても知られる。イスラム教の人々にとっては聖地メッカを擁する国もあり、イスラム暦の巡礼月には、世界からの巡礼者が一斉にこの地を目指す。
そのサウジアラビアの観光ビザ発給は、「石油と巡礼地」という既存のイメージから大きく舵を切ったことになる。背後にあるのは、政府の「脱石油依存」という政策の大転換だ。有限な資源である石油ではなく、中東の大国として、ビジネスや観光の面でも主導権を握っていく、その歩みが着実に進んでいる。
この春、観光客の1億人達成を記念する大掛かりなイベントが行われ、新しいサウジアラビアの姿を知ってもらおうと、世界各国からジャーナリストが招聘された。
今回のツアーの大きな目玉の一つが、KAFDと呼ばれる、300万平方メートルのビジネス中心地区だ。オフィスのみならず、レジデンス、レストランやカフェ(スターバックスがすでにオープンしていた)なども揃い、便利な職住近接が可能になる街。文化的な活動にも力をいれ、去年10月に開催されたサウジアラビア初のファッションショー「リヤドファッションウィーク」に使われたイベント会場もある。
今年中に、リヤドのキング・ハーリド国際空港とこの地区を15分で繋ぐサウジアラビア初の地下鉄が完成予定で、海外企業の誘致を積極的に進めている。