アラスカ・カナダ・アメリカ西海岸に続いて、今回はメキシコの旅をお届けします。
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圧倒的な大自然に囲まれたアラスカ、カナダから、海・都会・自然が調和した米ウエストコーストを経て、昨年末から今年3月まで、日本の面積の約5倍を誇るメキシコを旅しました。
アメリカとの国境を接する北部の都市・ノガレスから入国し、多種多様なサボテンが自生する乾燥地帯、メキシコ中央高原へと南下。大都市や活火山もある山岳地帯を経由して、熱帯のジャングルへ突入し、最後はユカタン半島をぐるり。
観光地もほぼ訪れた気がするほど、自転車で一日約80〜100km、小さな路地から4車線の道路まで走り回りました。
>> メキシコ地図
目に飛び込んでくる風景は、街も自然もとてもカラフルで、走っているだけで楽しいと感じさせてくれるものでした。
古代文明が築かれたこの地に残る遺跡群と、スペインによる統治時代より流入してきたキリスト教の美しい教会やバロック様式の街並み──。二つの文化が融合しながらも、それぞれ色濃く残るこの国に、アラスカから下ってきた僕が様々なカルチャーショックを受けたことは言うまでもありません。
メキシコを満喫。キーワードは「トランキーロ」
カルチャーショックといえば、入国してまもなくの頃こんな出来事がありました。メキシコに入って緊張が続いた僕の心を解きほぐしてくれた、少年との出会いです。失礼ながら、メキシコは治安が悪いというイメージが先行していました。特に国境付近は危険だとよく聞いていましたが、実際、有刺鉄線に武装した警官、そして微塵もわからないスペイン語...... どこか物々しい雰囲気にのまれ、自転車を見る人々の視線もこれまでの旅とは違うように感じました。
「とにかく早く、ここから離れよう」。必死にペダルを漕ぐも、車道では我が物顔で車がクラクションをならしながら右に左に車線変更を繰り返し、逃げるように歩道に入っても、まるで階段のような凹凸のスロープが続いて結局また車道に戻るという調子。やっとの思いで高速道路にたどり着き、整った路側帯が現れてほっとしたのも束の間、後輪がパンクしていることに気がつきました。
仕方なく道路沿いに公園を見つけて修理を始めると、後ろから「キコキコ」と奇妙な音が近づいてきました。