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2024.05.21 17:45

街全体が病院の待合室 スマートホスピタルの遠隔チェックイン

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大きな病院では、再来予約をしても待合室で長時間待たされる。その間は何もできず、半日潰れてしまったりもする。そこで、再来受付をスマホアプリで行い、病院の近くのカフェなどでゆっくり時間を過ごし、診療時間になったら、直接、診療室に入れるという遠隔チェックインサービスの実証実験が、千葉県柏市の国立がん研究センター東病院で始まった。

たとえば、国立がん研究センター東病院の再来予約をしている患者は、最寄り駅の柏の葉キャンパス駅からスマホアプリで予約情報を確認し「チェックイン」を行う。すると「待ち場所をさがす」画面が表示され、受診時刻まで快適に過ごせる店や施設が紹介される。患者がそこで待つ一方、病院側はチェックインを確認すると、管理画面に患者の行動を見ながら再来受付処理を行う。

これにより、病院の混雑緩和や待ち時間の短縮が期待されるだけではない。柏の葉地区のグルメ情報を提供する「柏の葉おでかけマップ ほっぴんボード」と連携することで、周辺の店に客を誘導し、街の活性化にもつなげたい考えだ。実証実験では、実際に待ち時間の軽減が可能か、病院情報システムと連携したサービス活用の可能性、街機能との連携、これらが患者にもたらすメリットを検証する。

この遠隔チェックインサービスには医療情報のための国際標準のデータ通信規格「HL7 FHIR」(ファイア)が使われている。ファイアは厚生労働省も電子カルテの標準規格として採用していて、システム連携がしやすく、他の地域のサービスとの連携や拡張も期待されている。

システム開発は、柏市のヘルスケアコンテンツ開発企業nemuli(ネムリ)が担当。この取り組みは、国土交通省のスマートシティモデル事業に選定された、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅を中心とする柏の葉スマートシティ構想の一環として実施されている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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