海外

2024.05.16 13:00

AIチップ開発の韓国DeepXが125億円調達、サムスン電子の元社長も支援

DeepX創業者でCEOのキム・ロクォン(C)deepx

韓国の人工知能(AI)チップのスタートアップDeepX(ディープエックス)は米国時間5月9日、シリーズCラウンドで8000万ドル(約125億円)を調達したと発表した。評価額は5億3000万ドル(約828億円)だった。

このラウンドは、韓国のスカイレイク・エクイティ・パートナーズの主導によるもので、韓国のプライベート・エクイティ企業であるAJU IBインベストメントとBNW インベストメント、さらに既存投資家のタイムフォリオ・アセット・マネジメントも参加した。

スカイレイクは、サムスン電子を売上高で世界トップのメモリーチップメーカーに成長させた功労者のチン・デジェが設立し、現在もトップとして経営する投資会社だ。

「スカイレイクは最高のAI半導体企業に投資しています」と、ディープエックスの創業者兼CEOのキム・ロクォンはビデオインタビューで語った。スカイレイクのこれまでの投資先には、チップ装置メーカーのハンミ・セミコンダクターや旅行スーパーアプリのヤノルジャなどがある。

ディープエックスは、新たな資金で電力効率の高いAIチップを開発し、今年末までに量産を開始しようとしている。同社のチップは、クラウドへの接続を必要とせず、オンデバイスでAIモデルを実行するように設計されており、より高いセキュリティを提供する。このチップは、自動車や工場、ロボット、監視カメラなどの利用を想定している。

2018年にディープエックスを設立する前にアップルで働いていたキムは、同社のチップがエヌビディアの製品の10倍から20倍の電力効率を持つと主張している。彼によると、ディープエックスの製品には、世界100社以上が関心を示しており、その中には現代自動車ロボティクス・ラボや韓国の鉄鋼大手ポスコのデジタル技術部門であるポスコDXなどが含まれている。

もちろん、電力効率の高いデバイス用AIチップを設計しているのはディープエックスだけではない。競合他社にはイスラエルのHailo(ヘイロー)とシリコンバレーのSiMa.ai(シーマAI)があり、両社とも先月資金調達を行った。ヘイローはイスラエルの投資家から1億2000万ドルを調達し、シーマAIはヘッジファンドのマーベリック・キャピタルやビリオネアのスティーブ・コーエンが率いるポイント72、デル・テクノロジーズなどから7000万ドル(約109億円)を調達した。

ディープエックスは、世界的にVCによる投資が低迷する中、半導体の中心地である韓国で資金調達を行った最新のAI関連のスタートアップだ。韓国ではここ数カ月の間に、AIモデルをより高速かつ安価に実行できるようにするSqueezeBits(スクイーズビッツ)が約200万ドル(約3億円)を調達し、同じくAIチップの新興企業であるRebellions(リベリオンズ)が1億2400万ドル(約193億円)を調達して累計調達額を2億1000万ドル(約328億円)に拡大し、同種の韓国のスタートアップの中で最大の調達額を誇る企業に躍り出た。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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