このラウンドは、韓国のスカイレイク・エクイティ・パートナーズの主導によるもので、韓国のプライベート・エクイティ企業であるAJU IBインベストメントとBNW インベストメント、さらに既存投資家のタイムフォリオ・アセット・マネジメントも参加した。
スカイレイクは、サムスン電子を売上高で世界トップのメモリーチップメーカーに成長させた功労者のチン・デジェが設立し、現在もトップとして経営する投資会社だ。
「スカイレイクは最高のAI半導体企業に投資しています」と、ディープエックスの創業者兼CEOのキム・ロクォンはビデオインタビューで語った。スカイレイクのこれまでの投資先には、チップ装置メーカーのハンミ・セミコンダクターや旅行スーパーアプリのヤノルジャなどがある。
ディープエックスは、新たな資金で電力効率の高いAIチップを開発し、今年末までに量産を開始しようとしている。同社のチップは、クラウドへの接続を必要とせず、オンデバイスでAIモデルを実行するように設計されており、より高いセキュリティを提供する。このチップは、自動車や工場、ロボット、監視カメラなどの利用を想定している。
2018年にディープエックスを設立する前にアップルで働いていたキムは、同社のチップがエヌビディアの製品の10倍から20倍の電力効率を持つと主張している。彼によると、ディープエックスの製品には、世界100社以上が関心を示しており、その中には現代自動車ロボティクス・ラボや韓国の鉄鋼大手ポスコのデジタル技術部門であるポスコDXなどが含まれている。
もちろん、電力効率の高いデバイス用AIチップを設計しているのはディープエックスだけではない。競合他社にはイスラエルのHailo(ヘイロー)とシリコンバレーのSiMa.ai(シーマAI)があり、両社とも先月資金調達を行った。ヘイローはイスラエルの投資家から1億2000万ドルを調達し、シーマAIはヘッジファンドのマーベリック・キャピタルやビリオネアのスティーブ・コーエンが率いるポイント72、デル・テクノロジーズなどから7000万ドル(約109億円)を調達した。
ディープエックスは、世界的にVCによる投資が低迷する中、半導体の中心地である韓国で資金調達を行った最新のAI関連のスタートアップだ。韓国ではここ数カ月の間に、AIモデルをより高速かつ安価に実行できるようにするSqueezeBits(スクイーズビッツ)が約200万ドル(約3億円)を調達し、同じくAIチップの新興企業であるRebellions(リベリオンズ)が1億2400万ドル(約193億円)を調達して累計調達額を2億1000万ドル(約328億円)に拡大し、同種の韓国のスタートアップの中で最大の調達額を誇る企業に躍り出た。
(forbes.com 原文)