ロシア軍による攻撃編成の変更は、ウクライナ側の軍需品や装備が全般的に不足していることにも関連している。これまでは、クリミア半島から弾道ミサイルを発射すれば、ウクライナ軍が発射車両を特定して標的にすることができたため、ロシア側にとってはリスクが高かった。だが、現在はウクライナ側が東部ドンバス地方の防衛線の維持に限られた資源を集中的に投入しているため、ロシア軍はクリミア半島を弾道ミサイルの発射拠点として利用することができるのだ。また、ウクライナ側の防空資産の不足も、巡航ミサイルの発射など、ロシア空軍の動きを助長することになる。
ロシア軍は当面の間、包括的な攻撃で、徘徊型兵器より弾道ミサイルに重点を置いた現在の編成を続けるだろう。だが、この編成は、ロシア軍の夏の大規模な攻勢作戦の開始とともに変わる可能性が高く、その頃には徘徊型兵器の重要性が増すものと予想される。それまでに、ウクライナは米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)加盟国からの支援を受け、ロシア軍が使用する多種多様なミサイルに対応できるようになっているものとみられる。紛争で使用されているすべての技術と同様、ロシアの攻撃法とウクライナの防空システムは、戦場の動態に合わせて進化し続けるだろう。
(forbes.com 原文)