経済

2024.05.15 10:00

米、中国製EVや半導体への関税大幅引き上げ 貿易戦争の激化必至か

asharkyu / Shutterstock.com

米国政府は14日、電気自動車(EV)や半導体、バッテリー、鉄鋼など、中国からのさまざまな輸入品への関税の大幅引き上げを発表した。中国が自国経済を強化するために大量の製品を外国にダンピング(不当廉売)しているとの懸念が高まるなか、米国の産業を保護するという秋の大統領選を意識した取り組みの一環だ。

ホワイトハウスの声明によると、中国製のEVには現行の25%の4倍となる100%の関税を課す。太陽電池への関税は現行の25%を倍に引き上げる。

EV用リチウム電池への関税も今年中に現行の7.5%から25%に引き上げられ、2026年までにすべてのリチウム電池に新関税が適用される。

ホワイトハウスはまた、人工呼吸器やフェイスマスクといった医療製品、鉄鋼やアルミニウム製品にも関税を課すとした。現行の0〜7.5%を今年25%に引き上げる。また、現在課せられていない重要鉱物への関税は25%となり、半導体への関税は2025年に現行の2倍の50%に引き上げる。

ホワイトハウスによると、約180億ドル(約2兆8170億円)相当の中国製品が新関税の影響を受けるという。

今回の措置は、すでに緊張している米中関係を悪化させる可能性が高いが、ホワイトハウスは「中国の不公正な貿易慣行」、特に横行する「知的財産の窃盗」と「意図的に価格が抑えられている輸出品を世界市場に氾濫させる」慣行を抑制するために必要な措置だと説明した。

関税に関しては、キャサリン・タイ率いる米通商代表部(USTR)が「綿密な見直し」を行ってきた。バイデン政権が「これまでになく多額の投資」を行っている「戦略的な分野に慎重に的を絞った」という。

新たな関税は、数年にわたって繰り広げられてきた米中貿易戦争における最新の動きとなる。ここ数カ月、消費財や電子機器、鉄鋼・建設、バッテリー、ソーラーパネルといった主要分野における中国製品の供給過剰が特に懸念を引き起こしている。
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翻訳=溝口慈子

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