米陸軍は中東で敵の無人機を撃ち落とすためにレーザー兵器を使用したと、陸軍の買収部門の責任者のダグ・ブッシュは最近フォーブスに語った。米国防総省がこのような兵器を戦闘に使用したことを認めたのはこれが初めてだ。
「これらの兵器は、適切な条件下においては特定の脅威に対して非常に効果的だ」と彼は語っている。
ブッシュは、使用された兵器の詳細については明言を避けたが、その1つは「P-HEL」と呼ばれるものと考えられる。P-HELは防衛テクノロジー企業BlueHalo(ブルーハロ)のローカストレーザーをベースにしたもので、Xboxのゲームコントローラーで操作する「箱型のパレットマウント装置」とされている。この兵器は、比較的低出力の20キロワットのレーザービームでドローンの急所を数秒で溶かし、空から叩き落とすように設計されている。
BlueHaloによると、米陸軍は2022年11月に海外で最初のP-HELの使用を開始し、今年2基目が配備された。同社のジョナサン・マネーメーカーCEOはこの兵器が、米軍が運用を開始した「最初の主要なレーザー兵器システム」だとフォーブスに述べたが、これまで戦闘での使用は確認されていなかった。
この兵器の導入は、無人機との空中戦のコストに頭を悩ませている米国防総省にとって大きなマイルストーンと言える。米軍の防空ミサイルの価格は、攻撃用ミサイルの約2倍もするが、そのような高価なミサイルを使って、中東やロシアとウクライナの戦争で広く使われるようになった小型ドローンを撃ち落とすのは、経済的に考えて非効率だ。例えば紅海でイエメンのフーシ派武装勢力による攻撃から貨物船を守る米国の軍艦は、200万ドルのミサイルを使って2000ドルのドローンを撃ち落としている。
レーザーや高出力のマイクロ波を用いる指向性エネルギー兵器は、電磁放射を使って標的の電気部品を焼くもので、ミサイルよりもはるかに安価で、1発あたりのコストは、1ドルから10ドル程度とされている。