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2024.05.24 15:30

利益の源泉はいつも「革新的な手法」ブラックストーンが語る世界制覇の戦略

セパラのチームは22年、ブラックストーンが6年以上かけて築き上げてきた、ロンドンを拠点に10カ国で事業を展開する大手倉庫運営企業マイルウェイについて、売却する代わりに230億ドルを追加出資した。同社の所有権は、現在はブラックストーンのパーペチュアル・ファンドにある。

ブラックストーンは先日、23年度の決算を発表した。いわゆる分配可能利益は51億ドルで、資産の売却件数が減ったことによる手数料収入の減少が足かせとなった。とはいえ、運用資産残高は1兆400億ドルに増加。金利上昇のおかげでプライベート・クレジット事業が稼ぎ頭となり、同社の投資戦略で最大の利益をたたき出した。ファンド形態別で見ると、パーペチュアルが引き続き好成績を上げており、運用資産残高は4000億ドル近くまで増加。ドライパウダー(待機資金)は驚異の2000億ドルで、投資先を探しているとグレイは語った。

恐らく生涯引退しないシュワルツマンは、自身の野心的世界展開は金とは無関係だと言う。何を見てもどうすれば実現できるか考えてしまうのだ。

「素晴らしい投資のチャンスがあったら、とにかくワクワクしてしかたがないのです。『うちが保有すればいいじゃないか。さあ、買おう』とね」


Blackstone◎1985年、米国ニューヨークで創業したオルタナティブ投資運用会社。運用資産残高は1兆ドル、世界に約1万2,000件の不動産と約230社の投資先企業を有する。現在、北米、欧州、中東、アジアに17の拠点を構える。2023年9月には、オルタナティブ資産運用会社として初めてS&P500種株価指数の構成銘柄に。

ジョナサン・グレイ◎ブラックストーンの社長兼最高執行責任者(COO)。米国・イリノイ州のシカゴ郊外で育ち、ペンシルベニア大学を卒業後、1992年にブラックストーンに入社。2005年には不動産部門のトップとなり、18年に現職に就いた。運用期間を定めない、個人投資家も利用しやすいパーペチュアル・ファンドを考案。

スティーブン・シュワルツマン◎会長兼最高経営責任者(CEO)。1947年、米国・ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。イェール大学卒業後、投資銀行ドナルドソン・ラフキン&ジェンレッドでキャリアをスタート。72年にハーバード・ビジネススクールでMBAを取得。リーマン・ブラザーズを経て、85年にブラックストーンを共同創業。

文=セルゲイ・クレブニコフ、マット・シフリン 写真=グレリン・ブラスク 翻訳=木村理恵 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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