スクウェア・エニックス・ホールディングスは2024年3月期の決算発表で、同期の純利益が前期比で69.7%減となったと報告した。ゲームを主とするデジタルエンタテインメント事業の売上高はわずかに増加したものの、MMO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)とモバイル向けゲームが減収減益となったほか、開発費の償却負担などが増加したことで営業損失が拡大した。(編集注:同社は今期にゲーム開発方針を見直し、一部の主要タイトル開発を中止したことで、廃棄損220億8700万円を特別損失として計上しており、これが収支に大きく響いた)
一方で同社は、高い開発コストを最大限の収入につなげるため、「任天堂プラットフォーム、PlayStation、XboxやPCを含む、マルチプラットフォーム展開を強力に推進」すると表明した。同社の大作ゲームの多くは、昨年の『FINAL FANTASY XVI』や今年の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のように、PlayStation独占リリースの契約に縛られてきた。PlayStationは非常に人気があるゲーム機であり、スクウェア・エニックスはソニーと長年にわたり提携関係を維持してきたものの、それでも単一ゲーム機でのリリースに縛られ続けることはできないことに気付いたのだ。
これはソニーの面目をつぶすような動きだと言う人もいるが、大作ゲームを囲い込むためにサードパーティーと独占契約を結びたいのはどの企業も同じだ。責任は、多くの大作をこれほどの長期間にわたりPlayStation独占タイトルとしてきたスクウェア・エニックスにある。同社はようやく、これらのタイトルの多くを他のプラットフォームでも展開しなければならないことに気づいた。ただし、この記事で挙げたタイトルが他のプラットフォームで発売されることになるのかは不明だ。