ポーランド経済を支えるウクライナ難民
米コンサルティング企業デロイトが国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の委託を受け作成した報告書によると、ウクライナ難民が2023年にポーランドの国内総生産(GDP)に貢献した割合は0.7~1.1%に上り、今後さらに0.9~1.35%程度に拡大すると推定されている。民間消費の増加や外国資本の流入などにより、ポーランド政府の一般会計歳入は2022年に101億~137億ポーランドズロチ(約4000億~5400億円)、23年に147億~199億ズロチ(約5800億~7800億円)増加した。これは、同国政府が難民に対して支出した22年の150億ズロチ(約5900億円)と23年の50億ズロチ(約2000億円)の合計額を相殺して余りある規模だ。ポーランドに住むウクライナ人の多くは、製造業、運輸業、建設業などに従事しており、半数近くが学歴や資格などを含む自身の能力以下の職に就いている。また、起業する難民も多い。昨年ポーランドで新規登録した個人事業主の10%近くがウクライナ人で、その多くが建設業、情報通信業、その他のサービス業を営んでいる。
「倫理的に曖昧」
ポーランド国防相の発言は、経済的な懸念にとどまらず、決定の公正性を巡る議論にも拍車を掛けている。同国のラドスワフ・シコルスキ外相は、ウクライナが自国の領土を防衛するために兵士を必要としていることは当然理解しているとしながらも、ポーランド政府がウクライナ人男性を本国送還することは「倫理的に曖昧」であるため、ウクライナ政府自らが主導権を握る必要があるとの見解を示した。(forbes.com 原文)