経営・戦略

2024.05.17 11:30

【バフェットが株主総会で語ったこと3】AIの脅威、亡き友、社会貢献

米国全土には多数の巨大企業があり、ウォルマートのウォルトン一族やマイクロソフトのビル・ゲイツのように、一族で巨額の富を築き、その多くを慈善事業に捧げているケースもあります。ですが、なかでもバークシャーが珍しい理由は、地元の慈善団体に1億ドル(約155億円)以上を寄付している人が非常に多いことです。これは全米の上場企業の何倍にもなると思います。

数週間前にルースがしたように、50年間持ち続けてきた小さな紙切れを交換し、自分たちも裕福に暮らしている、そして、血縁関係のない株主たちがみな同じような行動をとっているような会社は他にないと思います。彼らは家族をないがしろにしている訳ではありません。しかし、王朝を築きたいと思っているわけでもないのです。多くの人が全米各地で同じような行動を起こしています。

そのような株主たちはすでに多くおり、今後も増え続けていくでしょう。もちろん、そのような行動ができるのは、早くからバークシャーに投資してきた家族、祖父や父親の代からバークシャーの一員になった家族に限られるのは確かです。しかし、彼らの生活はとても裕福なものであり、社会貢献のために何かをないがしろにしている訳でもありません。彼らはセカンドハウスを持ち、地域のコミュニティでも有名です。彼らがやっていることは、長年の間に手に入れ、使わずにとっておいた資金を活用することです。彼らは消費を避けてきました。それこそが貯蓄、つまり消費の先送りなのです。

何十年も、何十年も、一族の消費を先延ばしにし、その後に何かを成し遂げるという姿を見ると、人間という生き物を信じる心を取り戻せる気がします。そうした社会貢献の結果、150人の人々がさまざまな人生を追求し、才能ある人々が医者になるという夢を実現し、そのために途方もない借金を背負う必要がなくなるかもしれません。他の人々を助けるために立派に生きながら、自分の消費を先延ばしにしてきたという点で、私の知る限り、バークシャーの株主は他に類を見ない株主グループです。長い年月がかかりますが、それは実に大きなものになります。ルースの社会貢献によって生み出された新しいアウトプットは、彼女自身のためではなく、今後何十年、何百年、何千年、何万年と続く人々のためのものだと彼女は話しました。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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