経営・戦略

2024.05.17 11:30

【バフェットが株主総会で語ったこと3】AIの脅威、亡き友、社会貢献

いつ死ぬのか、何日に死ぬのかわからないというのは大きな利点です。チャーリーはいつも、「死ぬ場所を教えてくれ、そうすれば僕はそこに行くことはない」と言っていました。実際のところ、彼は自分の心でどこへでも行きました。彼は自分が99歳になったときの世界に興味があっただけでなく、世界の方も彼に興味を持っていました。みんなチャーリーに会いたがっていたし、チャーリーも喜んで話をしました。そんな人物はダライ・ラマくらいしか思いつきません。それ以外に共通点があったかはわかりませんが、チャーリーは自分の人生を自分の思うように生き、自分の言いたいことをいうことができました。彼は登壇することが大好きだったのです。

彼が私に怒ったことも、私が彼に怒ったこともありません。そんなことはしませんでした。遠距離電話の料金が高かった頃でも、彼と電話するのが楽しくて、毎日長時間話していたものです。私たちは学び続けていたし、いっしょに学ぶのが好きでした。そして、長年の間で経験した失敗から何かを学ぶことができ、私たちは少しづつ賢くなっていきました。その点で、彼と私は波長が合っていました。だからこそ、彼が99歳になり、私が93歳になっても、世界は私たちにとってとても興味深い場所だったのです。

時々、このような会合で私やチャーリーに「過去2000年の間に生きた人物の中で1人とだけランチができるとしたら、誰と食べたいですか?」と聞かれることがあります。チャーリーは、彼はすべての本を読んだから、私はすでにその人たちに会っているというのです。彼らに会うために、苦労してレストランに行く必要もありません。なぜなら彼は本のページをめくることで、ベンジャミン・フランクリンとも会ったからです。いっしょにランチを食べに行ったりする必要もありませんでした。

これは興味深い質問です。なぜなら、本当にやるべきことは、人生最後の1日を誰と過ごしたいのか、そうした人々にどのようにしたら会えるのかと考えるだけではなく、それを明日から始めることだからです。そして、できるだけ多くの時間をその人々と過ごすべきです。人生最後の1日まで待つ必要などありません。その他の人には構わないでおきましょう。

社会貢献

──バフェットは、自分自身のためだけでなく、何千人ものバークシャーの株主のためにも、途方もない額の富を築いてきた。バフェットは自分の富を慈善団体に寄付することを誓い、バークシャーの投資家たちが好意のある目的のために多額の寄付をすることを可能にしてきた。株主総会で流された短い映像では、ルース・ゴッテスマン博士がアルベルト・アインシュタイン医学校の学費を永続的に無料にするために、バークシャーの株式10億ドル分(約1558億円)を寄付したことが紹介されている。

バフェット:彼女の保有額は他の株主と比べてゼロが多いかもしれませんが、彼女はバークシャーの株主の原型です。ルース・ゴッテスマンは私たち全員に貢献するためにアルベルト・アインシュタイン医学校に10億ドルを寄付しました。
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翻訳=江津拓哉

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