経営・戦略

2024.05.17 11:30

【バフェットが株主総会で語ったこと3】AIの脅威、亡き友、社会貢献

米国の歴史において常に詐欺は存在していました。もし私が詐欺行為に投資することにも興味があるとすれば、非常に興味をそそられることでしょう。それは史上最高の成長産業なのです。もちろん、AIにも良い側面はありますが、核の精霊と同じように、世界がAIをどう扱うかについて、私は何もアドバイスできません。核の精霊について何も理解していない私が思うに、核の精霊にはとてつもなく大きな善をもたらす可能性もあればとてつもなく大きな害をもたらす可能性もあります。ただ、それがどう作用するかは私にはわかりません。

チャーリー・マンガー

──バフェットが最も感情を押し殺しているように見えたのは、若い株主から 「チャーリーともう1日いっしょにいられるとしたら、彼と何をしたいですか?」と質問された時だった。

バフェット:私たちはいつも毎日やっていることに満足するような生活をしていました。つまり、チャーリーは学ぶことが好きだったのです。彼はいろいろなことが好きだったので、私よりずっと知識の幅が広かったわけですが、私は彼ほど幅が広い人間になりたいとは思わなかったし、彼も私ほど狭くなりたいとも思いませんでした。

私たちは何事においてもともに楽しむことができました。いっしょにゴルフをしたり、テニスをしたり、何をするにもいっしょでした。失敗についても、他のことと同じくらい、もしくはそれ以上に楽しみました。なぜなら、その失敗から抜け出すために努力に努力を重ねなければならなかったからです。ある意味、10年前に思いついたアイデアがどんどん利益を生んでいくのをただ座って見ているよりも、パートナーとともに巣を抜け出すための穴を掘っているほうが楽しいのです。

彼が99歳まで生きるなんて思いもしませんでした。何しろ、彼は徴兵中に無理やりやらされていた運動を除いて、自分の意思で運動をしたこともなければ、食べるものに気を配ったこともないのです。私よりもはるかに、チャーリーは多くの物事に興味を示しましたが、それでもお互いのことを疑ったことは、ただの一度もありませんでした。もし彼ともう1日だけ過ごすことができるのなら、かつてと同じような1日を過ごすでしょうし、もう1日なんて望むことはなかったでしょう。
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翻訳=江津拓哉

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