経営・戦略

2024.05.15 11:00

【バフェットが株主総会で語ったこと1】消費者心理とアップル

アップル株を一部売却した理由

──CNBCのベッキー・クイック記者は、バークシャーがアップル株を1億1500万株売却したことに触れ、27歳のマレーシア人株主が投稿した以下の質問を代弁した。 

「昨年、あなたはコカ・コーラとアメリカン・エキスプレスがバークシャーの2つの長期保有銘柄であると述べ、これら2つの素晴らしい事業の良さについて時間をかけて語りました。一方、最近の株主への手紙では、この事業グループからアップルを除外しています。バークシャーが2016年に初めて投資して以来、アップルの事業の経済性や投資対象としての魅力について、あなたや投資マネージャーの見解に変化はありましたか?」

バフェット: 今年の年末には、アップルが私たちの保有する株式の中で最大のものになる可能性が極めて高いと思います。チャーリーと私は、普通株は企業の一部であると考えています。デイリー・クイーン(訳注:バークシャーの完全所有子会社)であれ他の企業であれ、それをビジネスとして見ています。それと同じく、コカ・コーラやアメリカン・エキスプレスの株式を所有するときも、それらをビジネスとして見ます。

税金の違いやいろいろなことがありますが、資金を投下するという点では、私たちは常にすべての株式をビジネスとして見ています。また、私たちはマーケットの動向を予測する術を知らないし、そう努力することもありません。

私はとても早い時期から株に興味を持ち、その魅力に憑りつかれていました。手あたり次第あらゆる本を読み、その他諸々の資料も読みました。そして最終的に、リンカーン(ネブラスカ州の都市)で『賢明なる投資家』(訳注:前述のグレアムによる著作)を手に取りました。そこには、このようなことが書かれています。もしあなたが株式をビジネスの一部であると捉え、市場はあなたを指導するためではなく、あなたに奉仕するために存在するものとして考えれば、チャートを見たり、移動平均線の話を聞いたり、誰かの意見を聞いたりするよりも、長期的にはずっとうまくいくでしょう。

その原則は当時の私にとって、とてもしっくりくるものでした。私の投資方針は時間をかけて変化したものの、その根幹となる基本原則は、私が2、3ドルで手に入れた本の中でベン・グレアムが説いていたものです。そしてチャーリーがやってきて、それをさらにうまく使う方法を教えてくれました。アメリカン・エクスプレスのようなすばらしいビジネスへの投資に目を向けるようになったのも、そのおかげです。コカ・コーラもすばらしいビジネスだし、アップルはもっとすばらしいビジネスです。
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翻訳=江津拓哉

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