彼らがベニテングタケを選んだ理由は2つある。その一つは、このキノコには精神作用があることで、さらに重要なのは、他のサイケデリック・ドラッグのように米国麻薬取締局(DEA)によって禁止されていない点だ(ルイジアナ州だけがこのキノコを禁止している)。
2023年までに、兄弟は他の数人の友人とともに、ポルカドット(PolkaDot)と呼ばれるブランドを立ち上げてハリウッドに会社を構え、ムシモール入りのグミやチョコレートを全米に販売するようになった。彼らのサイケデリック製品は、全米5000以上のガソリンスタンドやスモークショップで販売されており、メキシコやタイなどの国にも出荷されている。
「これは完全に合法です。マリファナよりも合法なのです」と、ポルカドットCEOで37歳のウィクラマラッキは話す(彼はカリフォルニア州で2つの大麻販売店も経営している)。「アメリカではどの街角にもスモークショップがあり、人々はそこに入ってキノコを体験することができるのです」
月に数百万ドルの売上
月間売上高が数百万ドル規模というポルカドットは、ベニテングタケ入りの食用品を販売する多くの企業のひとつだ。ここ数年のCali Sober(カリ・ソーバー)と呼ばれるムーブメント(ハードドラッグやアルコールには手を出さないが、大麻や幻覚剤などのソフトドラッグは嗜むという健康意識が高い人たちのトレンド)にも後押しされて、このカテゴリは、合法的にトリップできるリーガル・ハイ製品を扱うグレーゾーンのマーケットとして花開いた。この分野の企業には、「ギャラクシー・トリート」や「ファン・ガイ」、「エックスヘイル」などのヒッピー風の名前を持つものが多い。しかし、DEAがベニテングタケを禁止していないからといって、これらの製品が100%合法だったり、100%安全であったりはしない。
法律事務所Vicente LLPの設立パートナーで、大麻と精神薬を専門とするジョシュ・カッペルは、ベニテングタケのグレー市場の繁栄は、法の抜け穴を利用したものだ話す。「ベニテングタケを所持することは違法ではありませんが、米国食品医薬品局(FDA)の規則では、人体に接種させる目的で提供することは合法ではありません」