実際のところ、クレオはオープンバンキング革命の上に構築されている。米国の銀行は顧客の許可を得て、顧客の口座データへのアクセスを第三者に提供し、その第三者がアドバイスやサービスを提供できるようにしている。現在、米国の銀行の口座のほぼ3分の2は、少なくとも1つのフィンテックとつながっている。
近年、英国を含む欧州全域でオープンバンキングが急速に進んでいることから、クレオはこれらの市場でも大成功を収めるチャンスを手にしている。「金融サービスに対する考え方を変える機会だ」とハッセーヨーは言い、多くの欧州市場に見られる金融リテラシーの低さを改善する必要性を指摘する。
AIツールによって金融リテラシーの改善を大規模に実現できる可能性があるとクレオはみている。これは特に、過去2年間に生成AIと大規模言語モデル(LLM)が非常に急速に進化したからだ。「AIはこの用途に本当に有効だ」とハッセーヨーは言う。「これらのモデルから非常に優れた結果を導き出すことができる」
クレオはこれまでに、ソフィーナ・キャピタルが主導した2022年7月の8000万ドル(約125億円)のラウンドを含め、1億4000万ドル(約220億円)弱を調達している。こうした資金により、クレオの従業員は200人を超えた。
直近の資金調達でクレオの企業価値は約5億ドル(約780億円)に達した。 ほとんどの英国人が聞いたこともないような英国企業にしては悪くない。次の資金調達でクレオはユニコーンになるかもしれない。だが今のところ、ハッセーヨーは資金調達は考えていないという。売り上げをあげているビジネスモデルにより、同社は明らかにしばらくの間、外部からの資金調達なしで事業展開ができそうだ。ハッセーヨーによると、同社は黒字に手が届くところまで来ている。
(forbes.com 原文)