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2024.05.16 16:00

経産省主催CXシンポジウム グローバル競争時代で「稼ぐ力」を高める

過去数年のインフレも後押しとなり、日本企業では海外拠点からの投資収益が年々増加しているという。製造業を中心としたグローバル企業の収益は過去最高を更新する一方で、この15年程度の間に事業のグローバル化が急速に拡大した結果、日本を中心とした従来型の経営はその変化に追いつけていないのではないか——そのような課題意識から経済産業省が立ち上げたCX(コーポレート・トランスフォーメーション)研究会が主体となるイベント、「CXシンポジウム グローバル競争時代に求められるコーポレート・トランスフォーメーション」が2024年6月10日(月)13:00-17:30に開催される(主催:経済産業省)。

研究会の座長を務める日置圭介氏(re-Designare代表、日本CFO協会/日本CHRO協会 シニアエグゼクティブ)のほか、キーノートには入山章栄氏(早稲田大学大学院経営管理研究科、早稲田大学ビジネススクール教授)も登壇。パネルディスカッションには企業のCxOクラスの変革の旗手たちが集い、CXに必要なアプローチを多様かつ総合的な視点で議論する。

経営層はもちろん、コーポレート部門やIT・デジタル部門のみならず、事業部門まで、さまざまな立場から企業を変えたい、変えなければならないと考えている担当者は参加必須のイベントだ。リアル開催だからこそ発展する数々の議論からは、新たな気づきが得られることだろう。

※本イベントは終了しました。


製造業の海外売上比率は5割超、従業員の6割は海外現地法人に

2022年、日本の貿易赤字は15.7兆円を記録し、1996年以降最大の赤字となった(出典:財務省「国際収支状況」2024年2月)。一方で、右肩上がりで増加している数字がある。営業外利益だ。

金融を除く全産業の営業外利益は右肩上がりで増加し、現在では30兆円規模、経常利益のうち5割弱を占めるまでに至っている(出典:財務省「法人企業統計」)。この変化の背景には、海外現地法人からの配当等の直接投資収益の増加がある。

とりわけ製造業では、リーマンショック後に海外売上比率が急激に上昇。主要500社では50%を超える。海外現地法人の従業員数は連結ベースでの従業員数全体の6割を超えるという。

グローバル競争力の強化に必要な組織経営能力

こうした数字は、国内市場が伸び悩む中、日本企業は生き残りをかけてグローバル市場の獲得に取り組んできた成果であると言える。一方で、依然として米欧企業に劣後しているのが利益率だ。CX研究会の分析では、急速なグローバルビジネス展開や事業ポートフォリオの多角化によって経営の複雑性が増していることが、経営効率の水準を押し下げている可能性を指摘している。いわゆる従来の日本を中心とした“日本的経営”では変化に対応しきれなくなっているのではないか——。

これまでも日本企業は「技術で勝ってビジネスに負ける」と言われてきた。半導体や液晶パネルやDVDプレーヤー等の家電においても、個々の技術では先行しているのにもかかわらず、製品化・サービス化、あるいはスケールアップの段階で出遅れたからだ。昨今ではDXでも遅れをとっている。

これらの現象には一つの共通点がある。コーポレートファンクションの不全だ。日本企業は従来から「強い現場」を競争力の源泉としてきたが、現場への過度の委任が国内外の各法人で起きた結果、全社レベルでは何が起きているかが見えない「ゲリラ戦」が展開されているのではないか?DXについても、現場起点のシステム導入や刷新による個別最適化が進められ、全社レベルでインパクトのあるDXを実現できていないのでではないだろうか?CX研究会ではそうした仮説をもとに、経営・ガバナンスや組織設計、ファイナンス、HR(人事)などの経営資源の再配分を司るコーポレート機能、そしてこれらを繋ぐデジタル基盤に焦点を当て、議論を重ねてきた。シンポジウムでは、CX研究会での検討結果の共有に加え、既にCXに取り組んでいる国内外の企業の様々なアプローチやケーススタディについての議論へと発展させていく。

【イベント概要】
開催日時: 2024年6月10日(月)13:00~17:30 ※本イベントは終了しました。
会場: ソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区神田駿河台4-6)
参加費: 無料
主催: 経済産業省
協力: Forbes JAPAN
お問い合わせ: Forbes JAPANイベント事務局

【イベントプログラム】
13:00〜13:10 開会挨拶
13:10〜13:40 キーノート①:入山章栄
13:40〜14:10 キーノート② :日置圭介、片山弘士(経済産業省)
<休憩>
14:20〜15:00 パネルディスカッション① ファイナンス:
青山朝子(NEC)、大倉裕史(SAPジャパン)、横田貴之(資生堂)
15:05〜15:45 パネルディスカッション② HR:
有沢正人(カゴメ)、小野真吾(三井化学)、谷村圭造(アサヒグループホールディングス)
<休憩>
16:00〜16:40 パネルディスカッション③ デジタル:
小和瀬浩之(荏原製作所)、関灘茂(ATカーニー)、玉置 肇(パナソニックホールディングス)
16:45〜17:25 パネルディスカッション④ 総合討議:
白幡晶彦(シュナイダーエレクトリック)、橋本勝則(東京都立大学大学院)、南出雅範(村田製作所)
17:25〜17:30 閉会挨拶:日置圭介

【登壇者プロフィール】

◆キーノート①

入山章栄◎早稲田大学大学院経営管理研究科、早稲田大学ビジネススクール教授
慶應義塾大学卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所でコンサルティング業務に従事後、2008年米ピッツバーグ大学経営大学院より Ph.D.(博士号)取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。2013年より早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授。2019 年より教授。専門は経営学。国際的な主要経営学術誌に論文を多数発表。メディアでも活発な情報発信を行っている。



日置圭介◎re-Designare 代表、日本CFO協会/日本CHRO協会 シニアエグゼクティブ
税理士事務所勤務から英国留学を経て、PwC、IBM、デロイト、ボストンコンサルティング グループ(BCG)でコンサルティングに従事。デロイトでは執行役員パートナー、BCGではパートナー&アソシエイトディレクターを務めた。現在は、re-Designare合同会社代表、 株式会社メドレー社外取締役、一般社団法人日本CFO協会/日本CHRO協会シニア・エグゼクティブ、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師、他、事業会社、メディア、ITベンダー、スタートアップなどでアドバイザーや顧問を務める。経済産業省CX研究会座長。



片山弘士◎経済産業省 製造産業局総務課 政策企画委員
2007年経済産業省入省。東日本大震災の際には内閣官房に出向し、原子力損害賠償スキームの確立に携わる。英London School of Economicsでの留学から帰国後は、次世代エネルギー分野で水素基本戦略を策定したほか、イノベーション分野では産業技術ビジョンを策定。大臣官房経済安全保障室では政策分野として経済安全保障分野を確立し、続く商務情報政策局では5G促進法の改正等半導体産業政策に携わるなど、幅広く政策分野を経験。2022年夏より現職。製造業を中心としたGX、経済安全保障、DXに加え、グローバル競争力強化のためのCX等の政策群を推進。


◆パネルディスカッション①

青山朝子◎NEC, Corporate SVP, FP&A部門マネージングディレクター
2024年度から新設されたFP&A部門長としてNECグループのFP&Aを統括し、経営における意思決定の質の向上に資するビジネスパートナーシップ機能を強化。2020年にNECに入社し、グローバルBUのCFOとしてNECのグローバル事業の変革に貢献。NECに入社前は、監査法人トーマツ、メリルリンチ日本証券投資銀行部門を経て2004年に日本コカ・コーラ入社。2011年に東京コカ・コーラボトリング(現コカ・コーラ ボトラーズジャパン)取締役兼CFO。2度の上場企業のM&Aと統合を通じ、会計・財務・戦略の専門家として、伝統的な経理組織をグローバル標準のファイナンス組織へと変革。太陽ホールディングス株式会社社外取締役。企業会計審議会臨時委員。


大倉裕史◎SAPジャパン 代表取締役 常務執行役員CFO
2022年5月にCFOに就任。2006年SAP入社後、管理部門で収益認識やCommercial Finance分野を担当。2015年からSalesforce社の財務戦略部長として日本および韓国法人のFP&Aを統括、その後Automation Anywhere社のアジア太平洋財務本部長に就任し経理財務、FP&A、税務と幅広く経験。2020年からはマネーツリー株式会社CFOに就任し同社の資金調達ラウンドをリード。2022年5月より現職。


横田貴之◎資生堂 執行役 エグゼクティブオフィサー チーフファイナンシャルオフィサー
グローバル企業の日本法人ならびに世界の幅広い地域の統括、さらにグローバル本社でのファイナンス責任者の経験を通じ、財務・会計および国際ビジネスにおける高い専門性とダイバーシティ環境下でのマネジメント能力を培ってきた。2021年1月からは資生堂でCFOを務め、財務領域全般をリードし、構造改革に取り組む。また、最先端のテクノロジーを活用して会社のシステムをグローバルに統合し、データの標準化、業務プロセスの最適化を目指す全体的なプロジェクトの推進、業務改革に注力しているほか、キャッシュ・フローマネジメントの強化や投資の戦略的アロケーションにも取り組む。


◆パネルディスカッション②

有沢正人◎カゴメ 常務執行役員、カゴメアクシス 代表取締役社長
1984年に協和銀行(現りそな銀行)に入行。米国でMBAを取得後、主に人事、経営企画に携わる。2004年に入社したHOYAでは、人事担当ディレクターとして全世界共通の職務等級制度や評価制度を導入。2008年からはAIU保険会社で人事担当執行役員として日本独自のジョブグレーディング制度や評価体系を構築。2012年1月にカゴメに特別顧問として入社。人事のグローバル化の統括責任者となり、全世界共通の人事制度の構築に取り組む。2018年4月より常務執行役員CHO(最高人事責任者)となり国内だけでなく全世界のカゴメの人事最高責任者となる。23年10月より、カゴメアクシス代表取締役社長を兼任。



小野真吾◎三井化学グローバル人材部長
三井化学にて、ICT関連事業の海外営業・マーケ及びプロマネジャーを経験後、人事に異動。組合対応、採用責任者、国内外M&A人事責任者、HRBPを経験後、人材戦略、キータレントマネジメント、後継者計画、グローバル人事システム導入、グローバルポリシー推進、HRトランスフォーメーション等に従事。2021年4月よりグローバル人材部長に就任し、グローバルレベルでHR機能の強化及び指名・役員報酬制度、企業文化変革にも着手。


谷村圭造◎アサヒグループホールディングス 取締役EVP兼 Group CPO
高知県出身。神戸大学卒業後、1989年アサヒビールに入社。2009年、オーストラリアに赴任。2014年アサヒグループHD人事部門ゼネラルマネジャーに就任。2017年に執行役員。2018年 執行役員 グローカルタレントマネジメント担当としてグローバルの人事担当、2019年に取締役兼執行役員、2020年より現職。担当職務は、管理・ガバナンス領域(人事、総務)。CPOとしてグループ共通の人事方針の策定やDE&IとS&Wの取り組みを推進。

◆パネルディスカッション③

小和瀬浩之◎荏原製作所 執行役 CIO(情報通信担当)
1986年4月、花王入社。同社情報システム部門グローバルビジネスシンクロナイゼーション部長を経て、2012年10月同部門統括。2014年1月にLIXIL入社、執行役員IT推進本部長。同年4月からCIOを兼務。2015年12月から上席執行役員CIO兼情報システム本部長。2018年12月、荏原製作所入社。2019年4月より情報通信統括部長。2020年3月より執行役、2023年1月より現職。「日経クロステックが選ぶCIO/CDO オブ・ザ・イヤー2023」の大賞を受賞。



関灘茂◎A.T. カーニー アジアパシフィック代表 兼 日本代表 マネージングディレクタージャパン/シニアパートナー
2020年に日本代表に就任して以来、「日本を変える、世界が変わる」というビジョンを掲げ、日本を代表する大企業20社、及び、新興企業・スタートアップ200社のCXO Agendaの支援を通じた創造と変革、経営の再構築(REGENERATE)に取り組む。
20社+200社の創造と変革のために、2050年までに2,000人の創造と変革のリーダーを輩出するための活動を積み重ねている。



玉置 肇◎パナソニック ホールディングス 執行役員 グループCIO、サイバーセキュリティ担当、パナソニック インフォメーションシステムズ 社長
1993年4月、P&Gファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)入社。同社情報システム担当、地域CIO等を歴任。2014年4月に株式会社ファーストリテイリング入社、同社グループ執行役員 CIOに。2017年1月にはアクサ生命保険株式会社に入社し、執行役員としてインフォメーション・テクノロジー本部長やチーフ・ソリューションズ・オフィサー ソリューション・デリバリー本部長を歴任。2021年5月にはパナソニック株式会社(現パナソニック ホールディングス株式会社)に入社し、同社執行役員CIO、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 代表取締役社長に就任。2021年10月より同社執行役員グループCIO。


◆パネルディスカッション④

白幡晶彦◎シュナイダーエレクトリック 日本統括代表
1994年日商岩井(株)入社、自動車本部、南アフリカヨハネスブルグ支店等で勤務。ゼネラルエレクトリックを経て2013年シュナイダーエレクトリック入社、エコビジネス部門アジア太平洋地区統括バイスプレジデント、スマートスペース事業部グローバルコマーシャル統括バイスプレジデント、富士電機とシュナイダーの合弁会社である富士電機機器制御(株)の副社長を歴任。2018年1月より、関連会社や合弁事業などを含む日本市場におけるシュナイダーエレクトリックのすべての事業を管轄する統括代表(カントリープレジデント)、および、シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社代表取締役社長に就任。



橋本勝則◎東京都立大学大学院 経営学研究科 特任教授
慶應義塾大学商学部卒業。デラウェア大学MBA。YKK入社後英国子会社にCFOとしてM&A2件、欧州持株会社・欧州HQ会社を設立。米国デュポン社では、シニアFP&A、持分法適用会社財務報告グローバルプロジェクトリーダー、内部監査マネージャー。帰国後東京トレジャリーセンターの設立、グローバルトレジャリープロジェクトに参画後、2001年財務部長。2020年9月末まで取締役副社長としてグループ会社ガバナンス、スタッフ部門、ダウケミカルとの合併・3社分割を担当。デュポン退職後は、2020年10月東京都立大学大学院特任教授、2021年6月~2023年12月東芝取締役監査委員長・指名委員。2024年4月NTTデータアドバイザリーボードメンバー。



南出雅範◎村田製作所 取締役常務執行役員 コーポレート本部長
1987年株式会社小松村田製作所入社。株式会社村田製作所経理部、Murata Electronics (Thailand), Ltd. Financial Department、当社財務部、企画部担当部長、Murata Electronics Singapore (Pte.) Ltd. Managing Director、企画管理本部経理・財務・企画グループ統括部長を経て、2018年7月に執行役員に就任。2019年6月取締役上席執行役員、2021年6月取締役常務執行役員に就任。2022年7月にはコーポレート本部本部長としてコーポレート機能全般を統括する。

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