ジーカーは当初、1750万株の米国預託株式(ADS)を1株18ドルから21ドルで販売する予定だったが、レンジ上限の21ドルで2100万株を販売した。同社の株式は、米国時間5月10日からニューヨーク証券取引所で取引される。
ジーカーの上場は、中国企業による米国市場への上場としては近年最大規模のものとなったが、データ会社のDealogicによると、今年第1四半期に中国企業が米国で調達した資金は、新規上場と二次上場の合計で4690万ドル(約73億円)とわずかで、前年同期の4億2840万ドル(約667億円)から90%も減少した。
国内経済を強化しようとする中国は、海外からの投資を呼び込むために、企業に中国本土以外の取引所への上場を以前よりも奨励している。自動運転のスタートアップのPony.aiや教育テクノロジー企業のZuoyebang(作業帮)など、中国のテクノロジー企業の多くが米国でのIPOを目指していると報じられている。
しかし、上海を拠点とする調査会社86Researchのアナリストのワン・ハンヤンは、ジーカーはある課題に直面していると言う。同社は2023年初めに、バッテリーメーカーのCATLを含む投資家から130億ドル(約2兆円)の評価額で7億5000万ドル(約1168億円)を調達していた。しかし、それ以来、消費者の嗜好は変化している。
中国の消費者は、より広い車内空間を提供する家族向けのEVを好むようになっている。しかし、ジーカーは高級スポーツカーを提供するブランドに位置づけられている。同社は、セダンとSUVをミックスした5つのピュアEVモデルを20万元(約430万円)から80万元(約1760万円)の価格帯で販売している。
目論見書によると、ジーカーの昨年の売上高は2022年から60%以上増の73億ドル(約1兆1000億円)だったが、損失も12億ドル(約1869億円)に拡大していた。同社の納車台数は、2023年に11万8000台だったが、2024年には23万台へと倍増させる狙いで、そのために同社は欧州を含む海外市場の開拓を進めると述べている。
また、目論見書の中では米国が潜在的な市場として強調されているが、バイデン政権は間もなく、バッテリーやEV、太陽電池を含む中国製品への新たな関税を発表する予定だと報じられている。
「私たちはグローバル戦略を実行し、米国のロボットタクシー市場などの海外市場の機会を探ることで、市場でのプレゼンスを拡大する。当社はまた、吉利汽車グループの様々なブランドと協力し、その広範な既存の海外販売・流通網を活用することで、販売網を拡大していく」とジーカーは目論見書で述べていた。
(forbes.com 原文)