第1四半期の売上高は前年同期比約16%減の36億6000万ドル(約5692億円)、1株当たり利益は1.10ドルとなり、アナログ半導体と組み込み製品の両分野で売上が低迷したことが重荷となった。
アナログ半導体と組み込みシステムを含む同社の製品ラインナップは、半導体業界の他の部分と比較して、マクロ経済要因への依存度が高いと見られている。自動車関連では、コロナ禍の供給逼迫を受けて在庫を積み増した後、顧客は既存の在庫を消化しつつある。
さらに、アンプやパワーマネージメントデバイスなどのアナログ製品、産業オートメーション向けに設計されたプロセッサーやマイクロコントローラーなど、産業用顧客向けの製品も多数製造しており、この分野では前四半期比で1桁台後半の減収となった。
通信機器分野の顧客も購入を縮小しており、5G配備のペースが冷え込むなか、売上高は25%減少した。同社の利益率も圧迫されており、売上総利益率は前四半期比320ベーシスポイント減の66.1%だった。利益率は、収益基盤の縮小に加え、工場出荷台数の減少に伴う生産コストの若干の上昇が影響している。
もう少し長い期間で見ると、テキサス・インスツルメンツの株価はほとんど変化がなく、2021年1月初旬の165ドルの水準から現在180ドル前後までわずかに動いているだけだ。全体として、インデックスに対するTXNのパフォーマンスは冴えない。2021年のリターンは15%、2022年はマイナス12%、2023年は3%だった。
これに対してS&P500のリターンは2021年27%、2022年マイナス19%、2023年24%であり、TXNは2021年と2023年にS&Pを下回っている。ただ、これはマイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、エヌビディア(NVDA)、グーグル(GOOG)、テスラ(TSLA)、アマゾン(AMZN)でも同じことが言える。
原油高と金利上昇という現在の不透明なマクロ経済環境を考えると、TXNは2021年および2023年と同じような課題に直面し、今後1年間S&Pをアンダーパフォームする可能性がある。