欧州

2024.05.10 09:30

「死闘」第47旅団のブラッドレー、1.5km先のロ軍T-80戦車を撃破 米から補充届く

M2ブラッドレー歩兵戦闘車(Shutterstock.com)

野党共和党の半年以上にわたる妨害の末、米議会は4月23日、610億ドル(約9兆5000億円)近くをウクライナへの追加支援に充てる予算案をようやく可決した。翌日にはジョー・バイデン大統領が法案に署名し、米国防総省は数時間後に重要な弾薬や車両など10億ドル(約1560億円)相当のウクライナ向け軍事援助を発表した。

この軍事援助に、数量は未公表だがM2ブラッドレー歩兵戦闘車が含まれていたのは理由のないことではなかった。ウクライナ軍でM2を運用する唯一の部隊である第47独立機械化旅団は、ウクライナ東部アウジーウカの廃墟の西方で、はるかに規模の大きいロシア軍を相手に必死の防衛戦を戦っていた。

新たな弾薬と交換用のM2が届き、装備を十分に補充した第47旅団は、ロシア軍の攻勢を鈍らせている。どのようにロシア側の進撃を食い止めているかは、このほどウクライナ軍のドローン(無人機)がカメラに収めた劇的な交戦に示されている。

8日夜、M2の砲手はアウジーウカの北西にあるノボポクロウシケ村から畑を越えて1.5kmかそこら離れた場所に、ロシア軍のT-80戦車を見つけた。M2は有線誘導のTOW(トウ)対戦車ミサイルを1発放ち、重量43t・乗員3人のT-80を撃ち抜いた。「戦車の破壊屋、ブラッドレー」。ウクライナ国防省はそう戦果を誇っている

ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月目に入る戦争で、今回の撃破は最も遠距離から戦車が撃破された例のひとつになった。もっとも、1980年代から米陸軍の主力歩兵戦闘車として活躍してきたM2の支持者たちにとっては、驚くほどのことではないだろう。「ブラッドは戦車ではないが、戦車キラーにはなれる」。1991年の湾岸戦争の「砂漠の嵐作戦」で、M2の偵察戦闘車タイプであるM3の部隊を指揮したマーク・ハートリング米陸軍退役中将はそう説明している
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翻訳・編集=江戸伸禎

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