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2024.05.10 10:30

金ETFの現物保有量が「11カ月連続で減少」、欧州で不振

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ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、金を裏づけとする上場投資信託(ETF)の現物保有量は11カ月連続で下落に見舞われた。これは、欧州における継続した資金流出が主な原因であると、同団体は述べている。

WGCによると、世界のETFによる金の総保有量は33トン減少し、3080トンとなった。これは、4年以上ぶりの低水準であった。

先月の資金流出は20億ドル(約3100億円)にのぼる。しかし、金価格の上昇により、運用資産(AUM)総額は2290億ドル(約35兆円)に増加した。

金価格は4月に1オンスあたり2364ドルと過去最高値を更新した。マクロ経済と地政学的状況に対する懸念が、安全資産である金への関心を高めた。

欧州での流出

4月の資金流出は、世界第2位の金ETF市場である欧州での現金化によって引き起こされた。欧州ファンドの金保有量は52トンの減少を記録し、その結果、総保有量は1279トンとなった。これは11カ月連続の減少だ。

AUMは金価格の上昇のため950億ドル(約14兆8000億円)に増加したが、流出額は合計40億ドル(約6200億円)だった。

先月の欧州における資金流出についてWGCは、「域内のインフレ指数が冷え込んでいるにもかかわらず、イングランド銀行と欧州中央銀行による早期利下げに対する投資家の期待が後退した」と述べた。

その他の地域では保有高が増加

しかし、北米とアジアにおける金ETFへの資金流入が、欧州におけるマイナスを相殺した。北米のファンドの総保有量は1トン増加し、合計で1575トンとなった。資金流入額は1億2400万ドル(約193億円)で、AUMは1170億ドル(約18兆2000億円)に改善した。これは2カ月連続のプラスだ。

WGCは北米のマーケットについて、「3月と同様に、金価格の堅調なパフォーマンスは、主要な金ETFのインザマネー(ITM)のコールオプションを引き起こし、多額の資金流入を生み出した」と指摘している。また、「地政学的リスクと金融市場のボラティリティの急上昇も、北米のさまざまな金ETFへの資金流入を呼び起こした」と付け加えた。

アジアでは、金ETFの保有量は19トン増加し、10億ドル(約1558億円)の資金流入を記録した。月末時点での総保有量は167トンで、AUMは130億ドル(約2兆円)で月末を迎えた。

WGCはアジア地域について、「株式市場の低迷、自国通貨安への期待、ETFプロバイダーによる販促努力の増加、堅調な価格パフォーマンスが主な要因であった」と分析する。

同団体は、「4月では中国が主なエンジンであり、金ETFは月間で記録的な資金流入を達成しただけでなく【略】過去最高のAUMを達成した 」と述べている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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