セレンディクスは、3Dプリントによる「世界最先端の家」をグローバルチームで開発している。3Dプリント住宅は建築をロボット化でき、工期も短いことから価格が安い。同社が現在販売している2人世帯向けの床面積50平米という1LDの平屋「Serendix50」は550万円とまさに自動車なみ。工期はおよそ1週間だ。
さらに、デザインが自由にできるというメリットもある。従来の建築方法にとらわれず、「家を0から再発明」するのがセレンディクスの目指すところだ。同社の言う「最先端」には、耐火性や耐震性も含まれる。欧米ではすでに大きな建物も3Dプリントされているが、日本では厳しい建築基準法のために普及が遅れていた。そこを同社は、「単一素材に耐熱性、耐震性、耐久性などの複合技術を詰め込める」デジタルデータの開発で安全性を確保した。
ただ課題もある。住宅建築では、窓やドアなどの建築部材は標準規格の市販品を使うのが普通だ。特注品では高くついてしまう。しかし、そうなると標準規格の部材に合わせたデザインしかできなくなる。また、注文してから現場に届く前に長い時間がかかる。それでは3Dプリント住宅の自由なデザインと工期の短さが十分に活かせない。そこで、窓枠も3Dプリントすることを考えた。床面積10平米の「serendix10」用の三角計の窓枠だ。
窓枠のプリントには、大型3DプリンターメーカーExtraBold(エクストラボールド)のEXF-12が使われた。素材はABS樹脂に似ているが耐候性にも優れるAES樹脂。ExtraBoldのプリンターは、工業廃棄物となる樹脂ゴミを再利用したペレットが使えるのが特徴だ。EXF-12は、従来のプリンターと比較して出力時間が5分の1ほどと短く、3Dプリント住宅建設の工期短縮にも貢献する。窓ガラスには通常のガラスを使う。
このように、3D住宅の自由なデザインに合わせた自由な形状の窓枠を3Dプリントすることで、コストや工期も大幅に短縮できるようになり、セレンディクスが目指す「住宅産業の完全ロボット化」に近づくことになる。
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