英国の銀行大手スタンダードチャータードのアナリスト、ジェフ・ケンドリックは米国時間5月7日に発表したレポートで、「政府債務のマネタイゼーション(現金化)を伴うアメリカの財政支配のリスクは高まっており、投資家が代替資産を求めるなか、そのようなシナリオは暗号資産にとってプラスになるはずだ」と指摘した。
彼はまた、「第2次トランプ政権は、暗号資産業界に以前よりも支援的な規制環境を通じて、広範な恩恵を与えると信じている」と付け加えた。
ケンドリックによると、政府債務の現金化を伴う米国の財政支配の可能性は高まっており、このことでビットコイン価格が2025年末までに15~20万ドルまで上昇する可能性があるという。
「米国の財政支配が強化されるシナリオにおいて、ビットコインはドル離れと米国債市場への信頼低下に対する良いヘッジになると考えている」とケンドリックは述べている。彼はまた、今年の大統領選挙でトランプが勝利すれば、外国の当局が米国債の購入から撤退するのを加速させる可能性があると付け加えた。
トランプ政権の米国債の売却額は年平均2070億ドル(約32兆円)だったのに対し、バイデン政権下ではわずか550億ドル(約8兆5000億円)に留まっているとケンドリックは指摘した。
「脱ドル化によってビットコインが受動的に押し上げられるのに加えて、第2次トランプ政権は規制緩和や現物ETFの承認を通じてビットコインなどのデジタル資産を積極的に支援すると予想できる」とケンドリックは述べている。
トランプは、2017年から2021年にかけての大統領の任期中に、ビットコインや暗号資産に対して敵対的な態度を示していたにもかかわらず、最近ではその姿勢を軟化させており、3月のインタビューでは「ビットコインや暗号資産には多くの利用ケースがあり、現時点ではそれを人々から取り上げたいとは思わない」と述べていた。トランプはまた、イーサリアムなどの暗号資産を活用したデジタル・トレーディング・カードを支持者向けに発行している。
ビットコインと暗号資産は、今年の大統領選挙で以前よりも大きな役割を果たそうとしている。暗号資産関連企業のデジタル・カレンシー・グループ(DCG)が委託したハリス・ポールの調査によると、米国の重要な激戦州の有権者の約21%が、暗号資産関連の政策が重要なトピックだと考えている。
一方、消費者擁護団体のパブリック・シチズンのレポートによると、暗号資産業界のスーパーPAC(特別政治活動委員会)は2024年の議会選挙に向けてこれまで約1億ドル(約155億円)を調達した。
(forbes.com 原文)