神経嚢虫症と呼ばれるこの症状は、米国ではかなり稀なものだが、豚肉などを経由して体内に取り込まれたサナダ虫の幼虫が脳に寄生することで発症し、てんかんなどの症状につながる場合があるとされている。
報道によれば、今から10年以上前に、医師がケネディの脳に嚢胞を発見したとされ、専門家はニューヨーク・タイムズの取材に対し、彼が語った症状から推測すると豚に寄生するサナダムシの幼虫が引き起こしたものではないかと話した。
クリーブランド・クリニックによれば、有鉤条虫(Pork tapeworm)と呼ばれる寄生虫は、加熱が不十分な豚肉や糞便を通じて人間に感染し、それが腸内で発育した場合は、条虫症(Taeniasis)と呼ばれる軽い症状で済むことが多いという。しかし、その卵が体内の他の組織に移動し、脳に到達した場合は激しい頭痛や痙攣、てんかんの発作を伴う神経嚢虫症を引き起こす可能性があると、米国疾病管理予防センター(CDC)は述べている。
神経嚢虫症は、人から人へ直接感染することはないが、条虫症に感染した人が衛生管理を怠った状態で調理を行うと、卵をまき散らし、他の人を感染させる可能性があるという。CDCによれば、この感染症は血液検査や画像診断で診断でき、通常は抗寄生虫薬と抗炎症薬の組み合わせで治療可能だが、時には手術が必要になる場合があるという。
ニューヨーク・タイムズによると、ケネディは2012年の離婚訴訟で提出した宣誓証言で、この感染症の可能性を明らかにしていた。彼はその当時、ブレインフォグや記憶力の低下などを訴えており、脳腫瘍を疑う神経科医もいたが、ニューヨーク・プレスビテリアン病院の医師が、彼の脳内で寄生虫の死骸を発見したと彼に告げたという。ニューヨーク・タイムズによれば、ケネディはその当時、韓国で寄生虫に感染したのではないかと考えていたとされる。
彼は、「寄生虫が死ぬ前に脳の一部を食べた」と語ったが、ニューヨーク・タイムズは、「寄生虫は通常脳を食べることはなく、代わりに栄養素を摂取して生きている」とする専門家の見方を引用した。
CDCによれば、米国で神経嚢虫症を発症する人の多くは、この病気が多い地域から来ることが多いという。世界保健機関(WHO)によれば、この症状はラテンアメリカやアフリカ、アジアでよく見られるもので、豚が人間の糞便と接触し、自由に歩き回っている発展途上国の農村部でより頻繁に報告されている。
(forbes.com 原文)