発表のタイミング
米国東部時間5月15日午前8時30分、米労働統計局が4月のCPIを発表する。これは、次回6月12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までに2回発表されるCPIのうちの1回目となる。しかし、その次に発表されるCPIは、FOMCが開催される当日の朝の発表だ。2024年はこれまでのところディスインフレの進展が見られないため、FOMCが利下げに踏み切るのは早くても7月以降になるだろう。インフレ予想
4月の月次インフレ率は、総合インフレ率が0.4%、食品価格とエネルギー価格を除いたコア・インフレ率が0.3%となる可能性がある。この予測はクリーブランド連邦準備銀行のナウキャスト(Nowcast)によるものだ。イベント予測サイトのKalshiは、4月のCPIで年間インフレ率は3.3%から3.4%の範囲になると予測している。FOMCの年間インフレ目標は2%なので、目標達成にはまだ時間がかかる。シェルターコスト
シェルターコスト(住居費)は次回のCPIで重要な役割を果たす。シェルターコストはCPIの中で大きなウェイトを占めており、他の主要カテゴリーよりもインフレが加速している。これまでのところ、CPIの算出に使用される統計手法の影響もあり、業界筋が示唆するよりもCPIにおけるシェルターコストの上昇は緩やかである。FOMCは、シェルターコストが緩和され、おそらくインフレ率の低下に寄与するだろうと予想しているが、まだその兆候は確認されていない。もしそうなれば、CPIにおけるシェルターの比重が大きいため、インフレ率はFOMCの目標である2%に近づく可能性がある。
FRBは今、雇用をより注意深く見ている
過去2〜3年間、FRBはインフレとの闘いにほぼ専念してきた。そのために、金利をまずは引き上げ、その後で約1年間に渡り金利水準を据え置くという方法をとってきたのだ。もちろん、FOMCはあらゆる経済データをモニターしているが、その意識の中心はインフレにあった。それが今、変わりつつある。4月の雇用統計が低調で、インフレ率がより緩やかな水準で推移していることから、FOMCは雇用統計をより注意深く見始めている。たとえインフレ率がFRBの年率2%目標にそれほど近づいていなくても、雇用市場の軟化が利下げのきっかけになる可能性がある。したがって、インフレ率は注視されるものの、雇用統計の方がFOMCにとっての注目度は高いかもしれない。
今後の行方
4月のCPIは前月比0.3%程度の上昇となり、2024年もインフレ率がやや上昇する傾向が続くと予想される。しかし、これはFOMC関係者や市場が大方予想していることだ。インフレ率が予想より低くなれば、利下げが早期化する可能性がある。インフレ率が上昇した場合、雇用市場が軟化しない限り、利下げがさらに遅れる可能性がある。(forbes.com原文)