宇宙

2024.05.09 19:00

宇宙空間は想像以上に「混雑」 新種の浮遊惑星に約3万個の新小惑星を発見

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)に搭載のNIRCam(近赤外線カメラ)長波長域チャンネルで撮影したオリオン大星雲の中心部とトラペジウム星団。「JuMBO」と呼ばれる惑星状の2重天体が約40組捉えられている(NASA, ESA, CSA, M. McCaughrean, S. Pearson)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)に搭載のNIRCam(近赤外線カメラ)長波長域チャンネルで撮影したオリオン大星雲の中心部とトラペジウム星団。「JuMBO」と呼ばれる惑星状の2重天体が約40組捉えられている(NASA, ESA, CSA, M. McCaughrean, S. Pearson)

NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や地上の最先端技術などの、ますます高感度化するツールを用いて宇宙を観測すればするほど、宇宙空間を漂う興味深い天体がより多く見つかるため、宇宙が無限の虚空にはますます見えなくなっている。

最近のいくつかの研究結果を見ると、宇宙について考察する際には「見えないものは軽視される」といったことに関する古い諺をいかに念頭に置くべきかについて、改めて深く考えさせられた。

米小惑星研究所はこのほど、最先端の数値計算技法を駆使して、信憑性の高い小惑星候補天体を新たに2万7500個発見したと発表した。また規模はまったく異なるが、JWSTが発見した新タイプの「はぐれ」惑星によって、天文学界は衝撃と当惑に包まれ続けている。はぐれ惑星は自由浮遊惑星とも呼ばれ、特定の恒星に束縛されずに恒星系間を漂っている。

ケプラー宇宙望遠鏡は10年前、銀河が惑星で溢れていることを明らかにした。その中にはサイズや温度が地球とそれほど変わらないと思われる惑星が多数含まれている。10年前と同じく、現在はJWSTが、宇宙観のモザイクの欠落した部分をさらに多く埋めつつある。

昨年、JWSTはオリオン大星雲の息をのむような最新画像を地球に送信してきた。この画像は非常に高解像度のため、周囲に溶け込んでいる多数のはぐれ惑星と見られる天体の存在が明らかになった。

これらの天体が自由に浮遊するはぐれ惑星なのか、それとも実際は、非常に暗い「褐色矮星」と呼ばれる恒星なのかについては、まだ熟考の余地がある。この天体の一部から不可解な電波信号が発せられているらしいという事実により、さらに謎が深まっている。

その一方で、JWSTはさらに、知られている中で最も地球の近くにあるはぐれ惑星「WISE 0855」を、より詳細に調査した。観測を実施した研究チームは、あるモデルに基づくと、暗く寒冷なWISE 0855の温度が生命存在可能な範囲内にある可能性があることを明らかにした。だが、天文学者のフィル・プレイトが指摘しているように、特筆すべきなのは、これほど暗い天体でも観測可能であることだ。JWSTの高感度の赤外線観測装置が、これを可能にしている。

地球から約7光年の距離にある褐色矮星WISE 0855-0714を描いた想像図。自由浮遊(はぐれ)惑星の可能性もあると考えられている(NASA/JPL-Caltech/Penn State University)

地球から約7光年の距離にある褐色矮星WISE 0855-0714を描いた想像図。自由浮遊(はぐれ)惑星の可能性もあると考えられている(NASA/JPL-Caltech/Penn State University)

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翻訳=河原稔

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