マイクロソフト、『HI-FI RUSH』と『Redfall』の開発スタジオを閉鎖へ

『HI-FI RUSH』のTango Gameworksが手掛けた『GHOSTWIRE: TOKYO』(Diego Thomazini / Shutterstock.com)

『HI-FI RUSH』のTango Gameworksが手掛けた『GHOSTWIRE: TOKYO』(Diego Thomazini / Shutterstock.com)

マイクロソフトは、『HI-FI RUSH』や『GHOSTWIRE: TOKYO』を開発したTango Gameworks、『Redfall』を開発したArkane Austinを含む4つのゲーム開発スタジオを閉鎖すると発表した。『Redfall』は数日前、発売1周年を迎えたばかりだった。

残る2つのスタジオは、Alpha Dog GamesとRoundhouse Studios。ゲーム業界ではここ1年ほど大規模な人員削減が相次いでおり、これらのスタジオの閉鎖は重大で残酷な決定だ。マイクロソフトがこれまで買収してきたゲーム企業の「スリム化」を始めたことを示すものでもある。

Xboxのマット・ブーティは昨年6月、『Redfall』が酷評されたことを受けてもArkane Austinを閉鎖する「計画はない」と断言していた。だがそれから約1年後、この方針は覆された。

Arkane Austinは過去の作品で高い評価を得ていたものの、『Redfall』は悲惨な結果に終わった。同作はライブサービス要素を盛り込んだ協力マルチプレイゲームで、発売時の評価は非常に低く、プレイヤーの数も伸びなかった。昨年にはゲーム内容を改善する大型パッチがリリースされたが、追加コンテンツはリリースされていない。発売に合わせ、2人の追加キャラクターが将来的にプレイ可能になる「Hero Pass」も販売されたが、その開発は中止された。Arkane Austinは、購入者に対しては返金で対応するとしている。

一方、Tango Gameworksの閉鎖はさらに衝撃的だ。同スタジオが手掛けたリズムアクションゲーム『HI-FI RUSH』は、現世代のXboxにとって最大級のヒット作となり、批評家からの高評価や、数々のゲーム賞ノミネートや受賞につながった。社内で何があったのかはわからないが、昨年2月に発表された創設者・三上真司の退社がスタジオ閉鎖の決定に影響を与えた可能性がある。

同じく閉鎖が決まったAlpha Dog Gamesは、モバイルゲーム『Wraithborne』の開発元だ。一方、ブルームバーグ通信によると、Bethesda Game Studios傘下のRoundhouse Studiosは完全に閉鎖されるのではなく、ZeniMax Online Studiosに組み込まれるとのことだ。

Arkane Austinは『Redfall』の開発途上でスタッフの70%を失ったと報じられている。『Redfall』は発売前に何度も作り直されており、同社を買収したマイクロソフトは同作の発売を中止すべきだった考える人もいる。Arkane Austinはこの失敗を乗り越え、他のゲーム開発に取り組むことができると考えられていた(Arkane Austinは、新作『Marvel's Blade』を開発しているArkane Lyonとは異なるスタジオだ)が、そうはならないようだ。マイクロソフトは、Arkane Austinの一部の従業員はBethesda傘下の他のスタジオに移るが、Austinスタジオ自体は閉鎖され、一部の従業員は解雇されることになる。

Tangoの閉鎖は残酷だ。『Redfall』とは違って大ヒットを記録した『HI-FI RUSH』は、現世代で最高のXbox独占タイトルとも言える。繰り返しになるが、スタジオ閉鎖に至った具体的な経緯は不明なのだが、体裁が悪い決定であることは間違いない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事