政治

2024.05.08 07:30

ロシアで米兵拘束 交際相手を追い訪問中、窃盗容疑で

ロシア極東ウラジオストク(Getty Images)

ロシア極東ウラジオストク(Getty Images)

ロシア極東ウラジオストクで先週、米軍兵士が窃盗容疑で拘束された。同市の地区裁判所は7日、兵士は少なくとも2カ月間拘留され、有罪が確定すれば懲役5年の刑に処される可能性があると述べた。

ロシア国営RIAノーボスチ通信の取材に応じたウラジオストク・ペルボマイスキー地区裁判所の報道官は、拘束された米兵がゴードン・ブラック2等軍曹(34)であることを明らかにした。その上で、同軍曹は7月2日まで公判前勾留され、最高で5年の懲役刑に処せられる可能性があると説明した。

米政府関係筋が米AP通信に語ったところによると、既婚者であるブラック軍曹は、駐在先の韓国でロシア人女性と長期にわたり交際関係にあったが、2人の間で何らかのトラブルが生じ、女性はロシアに帰国。ブラック軍曹は交際相手に会うため、私的にロシアを訪れたという。同軍曹は近く米テキサス州フォートカバゾス基地への転属が決まっており、帰国に向けた休暇中だった。今回の旅行について、同軍曹は駐在先の職場に報告せず、ロシアに渡航する許可も得ていなかった。

英ロイター通信によると、ロシア人女性は、口論になったブラック軍曹が金を盗んだとして警察に被害届を提出。同軍曹は帰国するための航空券を購入した後、滞在先のホテルで拘束された。

ロシア外務省ウラジオストク支部は国営タス通信に対し、ブラック軍曹の拘束は家事事件の容疑によるもので、「政治やスパイ行為とは関係がない」と説明した。

米国務省関係筋は米ABCニュースに対し、在モスクワ米大使館がブラック軍曹との接触を試みているが、面会は許可されていないと明かした。関係筋は、同軍曹の拘留は延長される可能性が高いとみている。

RIAノーボスチ通信によると、ロシアでは7日、別の米国人も拘束された。米国籍のラッセル・ウィリアム・ナイカムは酒に酔って児童図書館の窓をよじ登ったとされ、10日間刑務所に収監されている。

ロシアではここ数年、米国人の拘束が相次いでいる。昨年には、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)モスクワ支局に勤務していたエバン・ゲルシュコビッチ記者がスパイ容疑で拘束された。同記者は最高で20年の懲役刑に処される可能性がある。2020年には、元米海兵隊員のポール・ウィランが、モスクワの裁判所からスパイ罪で懲役16年の判決を受けた。ウィランは自分の知らない機密情報が入ったUSBメモリーを渡され、だまされたと説明。裁判は「見せかけ」に過ぎないとし、無実を主張している。

米政府はこの2人について、不当に拘束されたとの見解を示している。米女子プロバスケットボール(WNBA)のブリトニー・グライナー選手も違法薬物所持と密輸の容疑でロシアの刑務所に10カ月間収監されていたが、ロシアの武器商人との囚人交換で米国への帰国を果たした。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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