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2024.05.08 10:30

戦争で富増やすロシアと周辺国の富豪たち フォーブス長者番付が映す「特需」の恩恵

Shutterstock.com

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ロシア軍が2022年2月下旬にウクライナに全面侵攻して以来、ウクライナ各地の都市が荒廃し、双方で合わせて数十万人が死傷し、世界経済は根底から揺さぶられてきた。

多くの人々の生活が破壊された一方で、この戦争から直接あるいは間接に利益を得て富を増やした者もいる。その筆頭が、「オリガルヒ」と呼ばれるロシアの新興財閥系実業家たちだ。

国際的な経済制裁を受けているオリガルヒの多くは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の戦争努力に深く関わっている。ロシアの調査報道機関プロエクトが2023年7月に報じたところによると、ロシアの有力実業家少なくとも81人の企業がロシア軍やロシアの軍産複合体のサプライヤーになっている。ロシアがウクライナ南部のクリミアを占領した2014年から2023年までに、これらの企業がロシア政府から受注した契約の総額は少なくとも2200億ルーブル(約3700億円)にのぼるという。

81人のうち63人は、フォーブスの2024年版世界長者番付に名を連ねている。

これらのロシア人ビリオネア(資産額が10億ドル=約1540億円=以上の富豪)には、鉄鋼大手セベルスターリのアレクセイ・モルダショフ会長、金属大手ノリリスク・ニッケルのウラジーミル・ポターニン社長、天然ガス大手ノバテクのレオニード・ミヘリソン会長らが含まれる。セベルスターリはミサイル向けの鋼材、ノリリスクは戦闘機向けの金属などをそれぞれ納品している。ノバテクは軍に燃料を供給しているほか、弾薬など原料になる化学物質も生産している。

さらにソフトウェア企業アストラのデニス・フロロフ会長、製薬大手Rファームの創業者アレクセイ・レピク、そして複数の国会議員といったビリオネアの面々も、ロシア軍やそのウクライナでの占領地の事業に携わっている。

今年の世界長者番付に入ったロシア人は新顔19人を含む120人と、2023年版の105人から増え、過去最多だった。彼らの総資産額は5370億ドル(約82兆5000億円)で前年から13%増えている。石油大手ルクオイル創業者でロシア一の富豪であるワギト・アレクペロフを含むうち55人は、米国や英国、欧州連合(EU)の制裁対象になっている。

この55人のうち、37人は過去1年間で資産を増やしている。前年から資産を減らしたロシア人ビリオネアは24人にとどまり、制裁を受けたオリガルヒではわずか9人だった。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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