ロシアのTikTok活用の増加は、同国が好むメッセージを大衆の目につくところに押し出すためのあからさまな戦略における「明確な変化」であり、TikTokをエンゲージメントを増やすことができる場所とみなしていることを示している。これは、ロシアが好むメッセージを密かに増幅させる「水面下」の情報操作の強化を補う可能性があると報告書は指摘している。
今回の報告書の発表は、大統領選挙を控えている米国の政治に影響を及ぼそうとするロシアの動きが活発化しているとの指摘がある中でのものだ。マイクロソフトの脅威分析センターが最近発表した報告書によると、ロシアがここ数カ月で新たな工作活動を開始した兆候が見られ、選挙シーズンに向けて活発化していることを示唆している。
だがブルッキングス研究所のTikTokに関する調査は、親会社であるByteDance(バイトダンス)がTikTok売却先を見つけられなければ、TikTokの使用を禁止するという法案が米議会で可決されたことを受けて行われた。米国は中国政府とByteDanceとのつながりや、米国のユーザーデータの悪用の可能性、TikTokが中国の情報活動ツールとなることなどをここしばらく懸念してきた。
「TikTokの完全禁止や、中国政府の意向を反映したメッセージがユーザーに届く可能性だけに注意を向けると、他のSNSと同様にTikTokでは情報戦が繰り広げられているという現実を見落とすことになる」と報告書の著者ヴァレリー・ワーツシャフターは書いている。ロシアがTikTokの使用を増やしていることを見過ごすと、「ロシアの世論操作のための投稿がその意図を指摘されることなく、拡散することになる」と指摘している。
(forbes.com 原文)