しかも可能性はそれよりはるかに大きい。
産業界で使われている偏光カメラのコストはおよそ1000ドル(約16万円)だ(5メガピクセルのセンサーを備えたこの機種は3000ドル近い)。そのソリューションが5ドル程度で手に入り、より高度な医療アプリが標準的なスマートフォンで使用可能になる。
「これまでユーザーには手が届かなかったまったく新しい情報の集合です」とデブリンはいう。「応用の可能性としては、例えば皮膚の異常を見てそれががん性かどうかを偏光情報に基づいて知ることができます。大気質モニタリングのようなことも可能になります。つまり、偏光を用いることで地域の大気の質を知ることができのです」
スマートフォンはスタートレックに出てくる『トライコーダー』の現代版だ。
スマートフォンは可視光、音、多くの場合に赤外線、複数の周波数の電波、あるいはそれ以上のセンサーをすでに備えている。そして今、周囲にあるものの元素組成を、たとえ痕跡程度であっても検出できるテクノロジーをスマートフォンの能力に追加できる可能性ある。
これは極めて重要な新機能であり、もし計画どおりに進めば、近いうちに全世界の数十億台のデバイスに搭載されるかもしれない。
Metalenzは、スマートフォンメーカーを含む電子産業向けの360億ドル(約5兆6000億円)規模のサプライヤーであるSTMicroelectronicsと提携している。そして、STMicroelectronicsがこれまでに約20億台販売された150種類のスマートフォンに供給してきたモジュール向けにメタサーフェス部品を供給している。
それは成長の余地が大きいことを意味している。スマートフォン業界の巨人であるアップル自身に供給する可能性もある。
(forbes.com 原文)