テクノロジー

2024.05.05 16:00

iPhoneのノッチをなくし、Android端末で安価で安全な顔認証を実現する新技術

最大1万個のメタサーフェスカメラレンズが載るMetalenzのウェファー(Metalenz)

iPhoneは全モデルでそのテストに合格している。「アップルのFace IDシステムがセンサーを使って顔の3Dの深度マップを作っている」ためだ。
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「AIや機械学習を導入した一部のより高度なシステムは、写真でだますことはできませんでしたが、マスク(仮面)ではだませます」とデブリンはいう。

それでもユーザーがそれらのシステムを使っているのは便利だからだ。

Metalenzにはソリューションがあるとデブリンはいう。コンピュータチップのように1枚のウェファーに1万個のカメラレンズをプリントできる同社の革新的メタサーフェス技術を使うことで、安価だが高解像度、高セキュリティの顔認識システムを作ることができる。Metalenzは、そのシステムが光の偏光(polarization)を捕えることから「Polar ID」と呼んでいる。偏光は光波が進む際どのように振動するかを表す複雑な現象だが、 重要なのは、光波を生成あるいは反射する物質の組成に関する重要な詳細が偏光によって明らかになることであり、これを使って天文学者は何兆kmも離れた恒星や惑星の化学組成に関する洞察を得ている。
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「光が人の顔に当たり顔の形に応じて反射する時、それが人間の顔を形成している物質であるか、完璧に3Dプリントされたマスク(仮面)であるかで、光の偏光の仕方が異なります」とデブリンはいう。「通常の画像処理システムを通すと、偏光の情報は捨てられます。しかし、システムにメタサーフェスを配置することで、被写体の偏光の情報を読み取り、分析し、保持することができます。こうして私たちのシステムは、顔の形状のマップを作るだけでなく、人間の皮膚でありシリコンではないと判断することができるのです」

つまりMetalenzはシリコンに一度に何千個もプリントできる小さくてフラットなチップを使って偏光データを解読する方法を発見した。これにより、数兆とまではいかないまでも数十億個規模の生産が可能な半導体産業のインフラストラクチャーを利用できるようになるのだ。
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翻訳=高橋信夫

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