こうした枝分かれは、米コンサルティング企業アリックスパートナーズが世界のBEV販売の80%以上を占める8地域の消費者9000人を対象に実施した最新の調査で浮き彫りになった。同社が2021年に同様の分析を行って以降、EV市場には複数の重要な変化が起きていることが示された。
最も注目すべきは、世界のBEV市場が2つの陣営に分かれていることだ。100%電動のBEVを好む消費者の拡大が欧米では停滞している一方で、中国ではBEVの購入の可能性について「非常に高い」または「中程度」と答えた消費者が多かった。これについて、アリックスパートナーズのマーク・ウェークフィールドは次のように説明した。「中国では現在、BEV市場が成熟しつつあり、消費者はBEVを当然の選択肢と見なしている。この背景には、BEVの充電環境が整っていることや、ソフトウエアを基盤とする高機能で魅力的な自動車があることなど、複数の要因がある」
BEVを購入する可能性が「非常に高い」または「中程度」と回答した米国人の割合は35%で、2021年から横ばいだった。米国では、政府がBEV購入に対する優遇措置を設け、国内のほぼすべての自動車メーカーが多大なマーケティング費用をかけ次々とBEVの新モデルを投入し、ニュースや娯楽メディアでもEVの概念は幅広く支持され、全米各地にBEVやバッテリーの新工場が絶え間なく新設されている。こうした現状を考えると、これは驚くべき数字だ。
多くの調査や分析が示しているように、米国の消費者がEV購入に二の足を踏んでいる理由は、主にBEVの性能を巡る「走行距離不安」(訳注:目的地に到着するまでにバッテリーが切れるのではないかという不安)のほか、同国では充電設備が十分に整備されていないといった不満や、EVの価格が同等のガソリンエンジン車より高いことなどが挙げられる。
同じような懸念や不満から、欧州でもBEVへの関心が横ばいとなっている。BEVを購入する可能性が「非常に高い」または「中程度」と回答した欧州人の割合は、2021年からわずか1ポイントの上昇にとどまったが、その割合は43%と米国より高かった。
欧米ではハイブリッド車、特にプラグインハイブリッド車への関心が高まっている。米国では、BEVの購入に「非常に」または「中程度」の関心があると答えた消費者のうち、83%が次の車を選ぶ上でプラグインハイブリッド車に関心を持っている。
(forbes.com 原文)