いずれにせよ、投入したドローンは大量だった。この日の襲撃はウクライナによるドローンを用いた攻撃としては、ロシアがウクライナで拡大して2年2カ月あまりたつ戦争で過去最大級だった。ドローンの群れはクショフスカヤ空軍基地と周辺の製油所2カ所を一斉に攻撃したとされる。英国防省は、ロシア側はドローンを合計66機撃墜したと主張しており、これは「攻撃の規模を物語っている」と解説している。
ロシア側はすべてのドローンを撃墜したわけではなかった。少なくとも1機は、今回の攻撃の最大の目標だったとみられるもの、つまりUMPKの倉庫に命中した。ウクライナのドローン操縦士は、数十個にのぼったかもしれないUMPKを破壊することで、前線の味方部隊をロシア軍の滑空爆弾作戦から1日かそこらは解放できたかもしれない。
ウクライナ側がその作戦を長期にわたって相当程度抑え込むためには、ロシアの航空基地に対するドローンによる襲撃を重ねていく必要があるだろう。とはいえ、FAB/UMPK誘導滑空爆弾インフラをウクライナが長距離ドローンで繰り返し攻撃する目標に含めるかどうかはわからない。ウクライナの長距離ドローンはすでに、ロシアの製油所や兵器工場を攻撃目標に据えている。
もうひとつ大きな疑問として残っているのは、ウクライナの長距離ドローン生産能力はどれくらいあるのかだ。ウクライナのハイテク戦争産業を監督するミハイロ・フェドロウ副首相は先ごろロイター通信のインタビューで、国内に長距離ドローンの生産企業は10社あると明かし、2024年の長距離ドローン生産数は合計で数千機にのぼるとの見通しを示している。そのとおりなら、クショフスカヤ方面に行った規模の襲撃を毎週実施できるかもしれない。
ドローンの生産数はさらに増える可能性もある。フェドロウは「資金供給をさらに潤沢にできるよう戦っていく」と意気込みを語っている。
(forbes.com 原文)