一方で、円安と日本の高齢化は依然として逆風だ。日本の企業が勢いを維持し、長期的な成長を再びつかむには、コーポレートガバナンス(企業統治)を改善し続ける必要があると投資家らはいう。
この点でも日本の企業は前進している。米紙ウォールストリート・ジャーナルの投資家向けコラム「Heard on the Street」は、コーポレートガバナンスの改善を促す日本政府の継続的な働きかけによって市場がこれまでより開放的なものになりつつあり、企業構造を簡素化するリストラと資本還元の促進につながっていると指摘した。
だが、前進しているとはいえ、まだ道半ばであることがデータで示されている。1980年代後半、世界の時価総額上位50社のうち32社が日本企業だった。今日では、最近の強気相場を経てトップ50にラインクインしている日本企業はたったの1社だ。日本企業の利益に対する企業価値の割合は米国や欧州連合(EU)の企業より約40%低く、株価純資産倍率も低い。米国や中国の企業の約2倍ある現金残高は日本の企業が再投資に消極的であることと、リスクに対する許容度が他国の企業と比較にならないほど低いことを物語っている。
日本企業の次なる段階への移行では、取締役会のリーダーシップが重要な役割を担っている。まず米国で、そして日本で株主総会の季節を迎えるにあたり、継続的なガバナンス改革に焦点を当てるべきだ。
企業経営コンサルタントのベイン・アンド・カンパニーとボード・アドバイザーズが実施した調査では、持続的に改善を図るための土台を築くのに取締役が果たすことのできる特有の役割が明らかになった。40人を超えるCEOや社外取締役、機関投資家にインタビューし、日本のコーポレートガバナンスの指針における最近の進化を、他の国やグローバル企業のものと比較しながら分析した。その結果、あらゆる企業の取締役会の機能の改善に役立つ方法と、取締役会が最も注力すべき3つの役割が明らかになった。