コロナ禍を経て起きた「大離職時代」を受けて、各組織は、従業員たちの参加意識を高め、仕事により大きな目標(パーパス)を感じてもらい、ワクワクする気持ちを提供したいと考えた。多くの組織がその解決策として取り入れたのが、「仕事のゲーム化(ゲーミフィケーション)」だ。
こうしたアプローチは、ここ数年で勢いを得ている。何しろ今は、イノベーションが最も重要なテクノロジーの時代だ。ゲーム化は、多くの世界的一流企業において顕著な流れとなった。とりわけ米国のテクノロジー業界とスタートアップ業界では、かなりの人気を集めている。
学習支援システムのTalentLMS(タレントLMS)が2019年に実施した
ゲーム化に関する調査では、「ゲーム化が導入された職場では、前よりも生産的になったと感じる」と回答した従業員が89%に上った。
「仕事のゲーム化」の魅力
「ゲーム化」とは、ゲームとは無関係の状況に、ゲームデザインの要素や原理を適用することだ。仕事においては、ポイントやバッジ、スコアボード、チャレンジ、報酬といったゲーム的機能を組み入れて、従業員のモチベーションを高め、エンゲージメントを強化し、望ましい行動を促そうとする。
ゲーム化の狙いは、仕事をより楽しいものにし、生産性を向上させ、協力関係を育み、学びとスキル開発を促進することだ。
仕事にゲーム化を取り入れると、以下のような点が改善されることが示されている。
・従業員エンゲージメント
仕事がゲーム化されると、内発的な動機付けやフィードバック、報酬を通じて、
従業員のエンゲージメントが強化される。退屈な作業がよりおもしろくなり、活発な環境が育まれるほか、ゴールが可視化されて明確になり、モチベーションも増す。
・生産性
ゲーム化により、タスクの進捗状況がリアルタイムで追跡され、ゴールが明確に示される。タスクを完了すると即座に報酬がもらえて達成感を得られるため、生産性が向上する。
・スキルの育成
従業員は、ゲーム化されたトレーニングのモジュール上で、インタラクティブなシミュレーションや課題、目標に取り組みつつ、特定のスキルを生かし、磨きをかけていく。ゲーム化のプラットフォームでは、フィードバックが提供されるようになっており、従業員は自分の進歩に応じて強化手段や指導を得られるため、学びとスキルの習得が促される。先述したタレントLMSの2019年調査では、「ゲーム化された採用プロセスを取り入れている企業で働きたいと思う」と答えた人は78%に上った。