西山氏はカルチュア・コンビニエンス・クラブで二子玉川 蔦屋家電を立ち上げ、蔦屋書店の中国進出にも携わったあと、本プロジェクトのため三喜商事に入社したマーチャンダイザーだ。中国カルチャーに詳しい西山氏は、中国版インスタグラム「小紅書(RED)」をチェックして、話題になっている日本人作家を探している。その中で見つけたのが、陶芸家の森安幸代氏だ。
森安幸代氏の作品
森安氏の作品は、福岡県・糸島市の自然豊かな土地で生み出される、リアルな動物モチーフとアンティーク調の作風が特徴だ。中国で人気が出ているのは、「動物の存在感」「大人っぽさ」「中国人が好む可愛らしさ」を兼ね備えている点だという。中国本土からのオファーは絶えず、すでに中国に常設店を構え、個展を開催した経験も持つ。
「三喜雑貨は順調な滑り出しを見せています。中華圏の若い女性たちが日本の伝統工芸、そして気鋭の作家に出会える代表的な店舗に育てていきたいですね』」(西山氏)
三喜商事はカンパニー制を導入
三喜雑貨を立ち上げた三喜商事の業態転換だが、その覚悟は生半可なものではない。新規事業を続々と生み出すために社内の組織、さらには人事制度まで抜本的につくりかえたからだ。熊谷社長は、会社をカンパニー制とし、既存の高級アパレルの輸入販売を担う「ディストリビューション・カンパニー」と「新規事業カンパニー」に2分割した。2つのカンパニーでは人事評価制度や組織体制もまったく別のものとなっている。
前者は従来の当社の人事や組織制度を維持し、堅実な成長を目指す。一方後者では、新規事業立ち上げに適した運営体制を導入した。いわば「社内フリーランス型」とも言える人事制度である。